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サラの日記84(もう聞いて欲しくない)

銀菓神暦2015年6月29日

ジャックさんはいつもと同じように過ごしてくれていました。
でも、……いつもより少しだけ馴れ馴れしいような気もしました。

放課後、地下の製菓室で、ルセット先生が大学には内緒で大切に大切に保管している冷凍の銀菓宝果を使って、ソースの仕込みの練習をしました。

「ルセット先生はジャックさんと一緒に住んでるの?」
「ううん、僕は一人暮らし。院を修了した時に家を出た」
「そう……。どうして?」
「家の束縛から逃げたくて……」
ルセット先生は思い詰めた表情でそう言われたあと、「なーんてね」と、明るくおどけていらっしゃいました。
それから、「この仕事、一人暮らしの方がやり易いから」と付け加えられました。

でも、何となく分かりました。
仕事がやり易いというのは表向きの理由。本当の理由は家の束縛。

木べらを入れている手に、ルセット先生がそっと触れて来られました。
<もう聞いて欲しくない>というのが たくさん伝わって来ました。

扉の方から、声で「コン コン コン」とノックの音を ものまねする人がいました。
ジャックさんでした。
扉に寄り掛かって、「あーあ、めちゃめちゃ仲良さそうじゃん」と、こちらを見ていました。
「見てらんない」と、右手を軽く挙げて、どこかへ行ってしまいました。

「サラ」
「ん?」
「ジャック、本当はいいやつだから」
「うん」
「頼れば真面目に応えてくれるやつだから」
「うん」
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