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サラの日記83(実はさぁ……、この間見ちゃったんだ)

銀菓神暦2015年6月28日

いつもなら研究室はお休みの日。
でも今日は前期の試験前の特別講習がありました。
講習をお休みの日にしなくても……。ん、でもルセット先生に会えるから楽しみな日でした。

お天気が良くて、お昼休みに中庭のベンチに座っていたら、
同じメランジェ研究室のジャックさんが、「サラちゃん、よくここに居るよね」と隣りに座ってきました。
「ここで何してるの?」
ジャックさんは私が見ているのと同じ方向を確認するような様子で研究室の方を見上げたので、視線を少しずらしました。
返事に困って「んー……」って言ってたら、
ジャックさんが「実はさぁ……、この間見ちゃったんだ」と話し始めました。
何を見られたんだろう……と、色んなことが頭をよぎって、どきどきして聞いていたら、
ジャックさんは、「サラちゃんがルセット先生に手を振ってるとこ」と、ぽつりと言いました。
そのまま聞いていたら、
「ルセット先生ってさぁ、ああ見えて手ぇ早そうじゃん。気を付けた方がいいよ。俺はこう見えてきっちり真面目だけど」と、話は続きました。
何か、思わず吹き出しちゃいました。
そしたらジャックさん、「ホント、冗談じゃなくて。……実はさ」と声をひそめながら続けました。
「サラちゃん かわいいから特別に教えてあげるんだけどさ、あいつ、俺の兄貴。メランジェ先生は知ってるんだけどさ、色々ややこしくなるからさ、みんなには伏せてる」
どう反応していいのか分からなくて、「うん」とだけ言いました。
ジャックさんは、「じゃ、何か困ったことがあったら何でも相談して」と言い残して校舎の中に入って行きました。

放課後、ルセット先生にそのことを話したら、
「ジャックのやつ……」と腕を組んで、下を向いて、しばらく考え込まれていました。
で、何かを吹っ切ったような口調で、「サラ、ジャックを呼んでくる」と言って、地下の製菓室を出て行かれました。

「……もう、何だよ……」と面倒そうにやって来るジャックさんの声が聞こえました。
部屋に入って来たジャックさんは私を見てびっくりしていました。
「サラちゃん何でここに居るの?」
「サラと、パートナーの契りを結んでる」とルセット先生が話されました。
ジャックさんは固まったまま目だけを動かして、ルセット先生と私を何度も見比べていました。
「メランジェ先生にはもう少し時間を置いてから話す」
ルセット先生がそう言うと、ジャックさんの身体がようやく動き出し、
「えーっ!? サラちゃん、兄貴のパートナーなのかよ。まだ1年目始まって3か月じゃん。兄貴、手ぇ早過ぎだよ。サラちゃんも、……っもう。ちぇっ、何だよもう……」と愚痴を散々こぼし、
「サラちゃん、兄貴に泣かされたらすぐ俺んとこ来いよー」と右手を挙げて、指をぱたぱたさせて、ウインクして、「はぁーあ……」と言いながら、そこにあった椅子にドカッと座りました。
ルセット先生の方を向いたら、ルセット先生と目が合いました。
一瞬、ルセット先生の瞳の淡いブラウンに見入ってしまっていたら、
ジャックさんが、「ちぇっ、……はぁーあ……」と言って、首をカクンと上へ向けていました。

だけど、ちょっと安心しました。
ルセット先生のことはもちろん信じているけど、
そのことを知ってくれている人がほかにいるっていうだけで、
ちょっと安心しました。
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