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サラの日記71(早口でささやくように言って、)

銀菓神暦2015年6月16日

久しぶりの快晴でした。
中庭のベンチに出てみましたが、
身体が重くてだるくて、そのまま うとうとしていました。

お昼休みが終わって、次の講義がある研究室に向かってぼんやり歩いていたら、ルセット先生に会いました。
「放課後、地下の製菓室に来て」と早口でささやくように言って、先に研究室に入って行かれました。

地下は初めてでした。
製菓室らしい部屋は1つしか無かったので、多分ここだろうと思い、恐る恐る扉を開けました。
柑橘系のソースの匂いがして、湯気の向こうにルセット先生が見えました。

「変な場所に呼んでごめん。これを教え子に見せるのは学則違反なんだ……」と言いながら、手招きされました。

ルセット先生が使っている木べらは頂いたのと同じものでした。
ソースは無色透明で、木べらですくう度に光の粒がたくさんこぼれ落ちました。

木べらを任されたので、しばらく混ぜていると、木べらを持っている私の手がルセット先生の手に包まれました。
一瞬ドキッとしたけど、ルセット先生の手の感触は心強くて、すぐに安心感に変わりました。
「怖い?」と聞かれたので、首を横に振ったら、
「じゃあ、このまま……」って、私の手を、空中に弧を描くようにリードしてくださいました。
部屋いっぱいに光の粒が舞って、星空の中に居るようでした。
後ろから、「忘れないで」というルセット先生の優しい声がしました。

「独りでやってみて」という声と同時に、ルセット先生の手がそっと離れました。
急に手元が不安定になったような感じがして心細かったけれど、
さっきと同じように空中に弧を描くと、さっきと同じように光の粒が部屋いっぱいに舞いました。
ルセット先生の方を振り返ると、にっこり笑いながら うなずいてくださいました。

どうして学則違反をしてまで色々教えてくださるのか分からないけれど、
『僕が何をすることになっても信じていて……』って言われていたから……、信じてる。
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