サラの日記716(あったかい……。)

銀菓神暦2017年3月22日

<ミシェル? 今日はね、桜餅をたくさん作ったのよ。でも、よく売れたのは桜餅じゃなくて>
<シュークリーム?>
<うん!>
<桜、咲いた?>
<うん。少しずつね>
<……名前さぁ。サクラにしようか……。それとも、モモとかウメがいいかな>
<もう、ミシェルったら。生まれてくるのは秋なのよ?>
<秋か……。じゃあさ、ミドルネームに春の花の名を入れよう>
<ミドルネームに? ミドルネームにはお義父さまやお義母さまの>
<いいよ。もうそういうのは考えなくていいよ。僕たちだけで決めてしまおう。新しい時代をつくろう>
<……ミシェル、ずるいわ>
<ずるい?>
<だって、この子が生まれる頃、ミシェルはきっと、まだ火星勤務中よ。直接申し出ることになるのは私だもの>
<大丈夫だよ。僕が銀菓神使になったことも、僕がサラを選んだことも、僕が火星に行くことも、全部許してきてくれた最強の両親だ>
<そうかなぁ……>
<そうだよ。そして、サラにとってはもっと最悪なことに、僕は、そんななんでも来いの両親の血を継いでる。……いきなり一人にしてごめん……>
<……うん。……でも大丈夫。もう慣れちゃったわ。ミシェルは最初っからそうだったもの>
<……泣かないで。……そうだ。ここならまだ……>
<あったかい……。すぐ近くに居るみたい……>