サラの日記68(私はデートに誘われでもしたような感覚でいました。)

銀菓神暦2015年6月13日

雨です。梅雨の真っ只中です。
中庭のベンチには逃げられなくなりました。
みんなが建物の中で過ごす時間が多くなるってことは、ルセット先生に遭遇する確率も高くなるってことです。
くすぐったくて、でもどこにも吐き出せないこの気持ちを、雨で洗い流せてしまえたらいいのに。

エレベーターだと、万が一二人っきりなんてことになったら心臓が持ちこたえられない……なんて思って、
階段で研究室に向かっていたら、上った先にルセット先生が……。
右手を軽く挙げて「おはよう」って。
大丈夫だったけど、もう少しで踏み外すところでした。
それを見た先生が更に「大丈夫?」って。

ルセット先生って、こんなに近い感じの人だったっけ……。
近い感じ……とは別に、何か懐かしい安心感も。

本当は朝一番からこんなことになるなんて、かなり嬉しかったのだけど、
それ以上に どきどきしてしまって、講義の最初の1時間は何も頭に入りませんでした。

こういうの、私にはある種の大事件なのだけど、ルセット先生には日常?

放課後、大きい製菓室の前で 入るかどうかを悩んでいたら、
「鍵、開いてなかった? あ、作業台が空いてないの?」ってルセット先生が。
流れのまま入ることになりました。

きっと日常のことなんだ。ルセット先生には。

製菓室から出て帰ろうとすると、
「植物館に寄ってく? 雨の時の抜け道 教えてあげるから、ちょっと待ってて」って。

ルセット先生にはお仕事の一環なのかもしれないけれど、
私はデートに誘われでもしたような感覚でいました。

昨日までも大好きだったんだけど、それ以上に、もう本当に大好きになってしまう。