サラの日記616(「大丈夫よ。大事な土だもの」)

銀菓神暦2016年12月12日

早朝の菓子工房ミヤマエ。
シュウちゃんが、「はぁ……。ここの排気口、あったかくていい匂いがするよ」と言いながら工房に入ってきました。
「あ、ちょっと待って」
私はさっき炊きあがったばかりのオレンジのジャムを紅茶に溶いて、シュウちゃんに手渡しました。
「わぁ。ありがとう。あったまるよ」
シュウちゃんはカップで手を温めながら紅茶を飲むと、「ごめんね。カップが土で汚れちゃったよ……」とカップの土を払いながら返してくれました。
「大丈夫よ。大事な土だもの」
私がそう言うと、シュウちゃんは私ににっこりして、ルセット先生にも会釈をして、上着の胸元をしっかりと閉めて、工房を出発して行きました。