サラの日記488(銀菓神使の仮称号試験が明日に迫ったツグミさん)

銀菓神暦2016年8月6日

ルセット先生は、銀菓神使の仮称号試験が明日に迫ったツグミさんの指導に追われています。
後輩への指導は私の勉強にもなるので、ルセット先生に同行しました。

今日は最後の練習日。「月行き」の日です。
緊張で、いつもより青白い顔をしているツグミさん。一年前の私を見ているような気分です。

「月、絶対行かなきゃならないんですか?」
ツグミさんが小さな声でたずねます。
「いや。行ってるのはメランジェ先生と僕の教え子だけ」
ルセット先生はツグミさんの表情をいたずらっぽい目線でうかがいながら答えます。
「……そうですかぁ」
ツグミさんはそう言うと、一度大きく深呼吸して、銀菓神使スーツを着装しました。
私はツグミさんに耳打ちします。
「ルセット先生、はちゃめちゃな指導だけど、ほかの先生に指導してもらうよりも早く近付けると思うわ。エマル……」
ツグミさんは、私が最後まで言うのをさえぎるようにこう言いました。
「はい! 行ってきます!」

ツグミさんが鳥居の中に消えていったあと、ルセット先生は私にきかれました。
「ツグミさんに何を言ったの?」
「ん? 一年前の私が思ってたこと……かな」