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サラの日記450(三十過ぎのおじさん)

銀菓神暦2016年6月29日

昨日は少し落ち着いていた空も、今日は再びの雨です。
本来なら領地の見回りに出向かなければならないルセット先生ですが、昨日あれからの不調が続き、見回りの方はジャックさんに任せることになりました。

「兄貴も、もう三十過ぎのおじさんだからなぁ……。ま、ゆっくりしててよ」
ジャックさんはいつもの調子でふざけていますが、ルセット先生は机に肘をついたまま、ぼんやりと何かを考え込んでいらっしゃいました。

二人だけになった研究室で、ルセット先生は、ぽつりぽつりとこんなことを話されました。
「……なんでもできると思ってた。あの日も、『磁場ぐらいのことで……』なんて思ってた。昨日も、自分の力でなんとでもなるって思ってた。……でも、……なんにもできないんだ。……サラにも、……銀菓神使の称号を取る前の大事な時期なのに、……しなくてもいいことばかりさせてしまって……」

「ねえ、こっち向いて」
私はルセット先生の両頬に手を添えて、ルセット先生の顔を自分の方に向けました。
ルセット先生の目は、自信を失った、ぼんやりとした輝きを放っています。
「ミシェルが今、そんなふうになってるのは、光の力にのまれてるだけよ。闇のアロゼを……使うわ。直接は無理でも、媒体を使えば……」
私はカリンさんからもらった闇の西瀬忍を吹きました。
――お願い。助けて。力を貸して――

<ミシェル。……何か感じる?>
<……温かい……闇>
<いいわ。このまま聴いてて>
<サラは? サラは大丈夫?>
<大丈夫。のまれる前にやめればいい>

不意に研究室のドアが開きました。ジャックさんです。
「忘れ物しちまったよ・……。何これ、すっげー気持ち悪い空気。俺まで具合悪くなりそう。窓開けた方がいいんじゃね?」
ルセット先生の顔に、笑みが戻りました。
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