サラの日記425(名残り程度の力)

銀菓神暦2016年6月4日

もう、ルセット先生を助けたいということ以外、何も考えていません。
陰陽五行の技で非常用鳥居を出して、カリンさんのところへ行きました。

カリンさんは、私が非常用鳥居を抜けたすぐ目の前に立っていらっしゃって、まるで、私が来るのが分かっていたかのようでした。
「闇の笛を、根来塗(ねごろぬり)の笛を使いたいんです」
私がそう言うと、カリンさんは奥の間へ入って行かれました。
しばらくすると、カリンさんが戻ってこられました。
カリンさんは、「これ、一番気に入ってるの。でも、今の私には吹けないから、サラさんにあげる」と、根来塗の笛を私に差し出されました。

「あの……」
カリンさんに聞いてみたいことがありましたが、躊躇してしまいました。
「何? なんでも聞いて」
カリンさんは落ち着いた表情でにっこりしてくださいました。
「カリンさんって、……」
「ん?」
「読めるんですか?」
その質問に、カリンさんは一瞬戸惑う表情を見せられましたが、ゆっくり首を横に振られました。
「私はもうすっかり一般人だから、笛のことしか分からないわ」
「でも……」
「少しかじっちゃったからね。名残り程度の力は残ってるのかもしれない。……サラさんは、ちゃんとした銀菓神使になってね。ここで応援してるから」
「私が吹いて……いいんですね」
カリンさんは微笑みながら、深くうなずいてくださいました。