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サラの日記412(この鳥居は……、あなたは不機嫌なの?)

銀菓神暦2016年5月22日

研究室はお休み。
天戸キャンパスの不機嫌な鳥居の前。

――不機嫌? この鳥居は……、あなたは不機嫌なの? それなら……、もしかして……――
急に思い立って、鳥居に癒しのアロゼを掛けてみました。

「何をしてるの?」
ルセット先生が、不思議そうな不安そうな表情で私を見つめます。
「うん……」
ルセット先生への返事もそこそこに、癒しのアロゼを掛け続けます。

「サラ?」
ルセット先生が、さっきよりも一層目を見開いて私を見つめています。
「戻った?」
私の問いに、ルセット先生が深くうなずきます。

「そこの二人! 何をしている!」
誰かが叫びながらこちらに走って来ます。
――ケンジさん!?――

ケンジさんは、鳥居の前に居るのが私とルセット先生だと認識すると、驚いた顔をされました。
「こんなところで何を?」
ルセット先生は、なんでもない顔をしてケンジさんの前に立ちました。
「磁場の乱れがあって以来こちらに来れていなかったので、置いたままだった資料を取りに」
ルセット先生の言葉を聞きながら、ケンジさんの視線は鳥居の中を探っています。その視線が、ゆっくりとルセット先生の方に戻りました。
「ご用が済み次第、できるだけすみやかにお帰りくださいね。磁場の安定が完全ではないので、厳重警戒中なんです。今日は丁度僕が当番で……」
そう話すケンジさんの顔からは、緊張感が少しずつ薄れていきます。

不安になって、ケンジさんの顔を見つめました。
「仕事ですので報告書には書かせていただきますが、お二人はこちらに置いたままにされていた資料を取りに来られた、ということで間違いありませんね?」
「はい」
私はケンジさんを見つめたまま、そう返事をしました。

ケンジさんの持っている銀菓神使ミエットの力でなら、鳥居にわずかに残っているルセットの力の欠片(かけら)を感じ取れたはず。そして、本当は私たちが何をしていたのかも簡単に想像できたはず。
――分かっていて見過ごしてくれるの?――

そう思った瞬間、ケンジさんから交信が入りました。
<僕の前では何も考えないでください。僕は、見ていないものは見ていない。見ていなかったものを必要以上に詮索するようなことはしたくない>
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