サラの日記400(その間、一度も銀菓宝果の様子を見に行っていないので気になっていました。)

銀菓神暦2016年5月10日

構内の鳥居が使用禁止になって随分経ちます。
その間、一度も銀菓宝果(ぎんがほうか)の様子を見に行っていないので気になっていました。
モンテ学長に相談してみたところ、ルセット先生が同伴されるのなら見に行ってもいいだろうとのお返事をいただきました。
いただいたのですが……。
モンテ学長は、現在ルセット先生が銀菓神使の力を使えなくなっていることをご存じありません。
ルセット先生の職位に関わることなので、それを打ち明けるわけにもいきません。
なので、形だけルセット先生に同伴していただきましたが、実質は一人です。
いえ、一人分の銀菓神使の力で、二人が、銀菓宝果の保管場所へ移動する鳥居をくぐらなければならないのです。

ルセット先生の中の私の意識体を優勢に切り替えました。
手を繋いで、一気に鳥居をくぐり抜けます。
銀菓宝果の木々は、黄金色に輝いていました。

「意識体をサラと半分ずつにしたことが、こんなことに役立つとは思ってもみなかった……」
ルセット先生が、くぐって来た鳥居を振り返りながら言われます。
「そうね。でも私、もうへとへとよ。鳥居をくぐっただけなのに。新入生の頃に戻った気分」
私はその場に座り込みました。
ルセット先生が、木成り(きなり)になっていた銀菓宝果を1つもいで手渡してくださいました。
「救護措置。おいしくないかもしれないけど」
「うん。ありがとう」
私は生の銀菓宝果を、「相変わらず酸っぱいなぁ」って思いながら ほおばりました。