サラの日記396(――守ってあげたい。この、ちょっと面倒で手の掛かりそうな後輩を――)

銀菓神暦2016年5月6日

一人になりたいのに、ツグミさんは私の周りから離れようとしません。

「授業には出なくていいの?」
私は、――お願いだからどこかへ行って――という気持ちを込めて、ツグミさんにそう言いました。
「今日は授業無いんです」
ツグミさんは さらっと かわします。
「研究室は? 何先生?」
私は、少しきつめの口調でたずねました。
「エマルション先生の研究室です。セパレの称号を目指してます……」
ツグミさんは、しゅんとして上目づかいに私を見ましたが、私は笑いがこみ上げてきてしまいました。

「やっぱり変ですか?」
ツグミさんは上目づかいのまま、私を見詰めています。
「ううん。変じゃない。変じゃないけど、エマルション先生がセパレの指導を引き受けるなんて、ちょっと意外だったから」
「やっぱりそうですよね……」
ツグミさんは しゅんとしたままです。

そんなツグミさんを見ていたら、なんだか不思議な気持ちになってきました。
――守ってあげたい。この、ちょっと面倒で手の掛かりそうな後輩を――

自分たちのことでいっぱいだったはずの頭だけど、ぐいっと寄せると、彼女の分の隙間ができてしまいました。