サラの日記360(「大丈夫ですよ。アウトサイド・パートナーとしての無償の協力です」)

銀菓神暦2016年3月31日

朝の仕事が終わって、少し休憩していたら、ケンジさんがいらっしゃいました。
早速、アロゼの力でシロップを結晶化させて、横笛を作りました。
ケンジさんはそれを手に取ると、時間を掛けて隅々まで観察されました。

「少し吹いてみていただけますか?」
ケンジさんは横笛を私の手に返してくださいました。
「吹くと、4、5分しかもたないんです。光の粒になって消えてしまうから」
「いいですよ。それも見せてください」

横笛が光の粒になって消えてしまうと、ケンジさんは何度か大きくうなずいて、こう言われました。
「受け取ってください」
「え? 何を?」
「シロップの横笛の完成に必要な力をお分けします」
「え? あの……」
私が返事に困っていると、ケンジさんはにっこりして、
「大丈夫ですよ。アウトサイド・パートナーとしての無償の協力です」
と言いながら、私の手のひらを自分の手のひらに合わされました。
それから、こう付け加えられました。
「この力は、サラさんが銀菓神使でいらっしゃる限り消えることはありません。万が一、僕がサラさんのアウトサイド・パートナーでいられなくなるようなことになったとしても。……さ、もう一度作ってみてください」

ケンジさんに促されるままに作った2つ目の横笛は、私が思い描いていたそのものでした。
ケンジさんは、その音色を聴きながら、少しふらつかれました。
奥のソファに案内すると、そのまま眠ってしまわれました。
私に力を分けてくださることは、かなりの負担だったようです。
ケンジさんに癒しのアロゼを掛けて、普段の仕事に戻りました。

お昼になって、ケンジさんの様子を見に行くと、既にケンジさんの姿はありませんでした。
お礼だけでも伝えたくて、ペンダントの鳥居を使って交信しました。
<今日はありがとうございました。身体、もう大丈夫なんですか?>
<すみません。だらしないところをお見せしてしまって……>
一瞬、時間が止まったかのような間があって、ケンジさんが続けられました。
<ルセット先生のお気持ちが、少しだけ理解できたような気がしました。自分の力の一部が、大切に思っている人の中にあると思うと、……強くなれます>