サラの日記355(そんな強がりを思ってみたりしています。)

銀菓神暦2016年3月26日

実家の工房で、いつも通りに早朝の仕事を終えたあと、
ルセット先生は城に帰って行かれましたが、私はそのまま残ることにしました。

久しぶりの自分の部屋。
少し埃(ほこり)っぽくなっていた空気を入れ替えて、ほっと一息ついていると、母が入ってきました。
「何かあった?」
「ううん。なんにも」
「そう? 泣いてたんじゃない?」
母は私の顔を両手で包み込むと、私の目を覗き込みました。
「もう。泣いてないから」
私は母の手をすり抜けました。

朝別れたっきり、ルセット先生からの交信はありません。
――まあいいか。明日の朝、また会えるし……――
そんな強がりを思ってみたりしています。