サラの日記344(私には手の施しようがないほど、高過ぎる密度で、)

銀菓神暦2016年3月15日

暖かくて良いお天気でした。
午前中は1人で1年生の棟の屋上に上がって、ゆっくり西瀬忍を吹いて過ごしました。
研究室を怠けていたわけではありません。
西瀬忍をよく知って、吹きこなせるようになることも、
銀菓神使アロゼの候補者としての大事な仕事です。

だけど、過ごし易いお天気とは裏腹に、寂しい波動が伝わってくるのです。
カリンさんです。
間違いありません。
西瀬忍の波動を送って、カリンさんの反応を待ちました。
……ただ泣いているだけの波動が返ってきます。

前に1度、ルセット先生が、カリンさんの居る島が見える場所に連れて行ってくださったことがあるのを思い出しました。
カリンさんのことが無性に気になって、その記憶を頼りに、移動用の鳥居をくぐりました。
カリンさんの波動をたどって行くと、思ったより簡単にカリンさんのもとへたどり着けました。

「あ……」
竹やぶの中で笛を吹いていたカリンさんが、驚いた顔をして私を見ています。
頬が涙で少し濡れています。
「なんだかいつもと違ったから……」
そう言う私に、カリンさんは、はっとした顔をして、そのあとすぐに にっこりして、こう言われました。
「大丈夫。私にはここがあるから」
その言葉からは、
寂しさと愛情が、私には手の施しようがないほど、高過ぎる密度で、カリンさんの中に存在していることが感じられました。
カリンさんは もう1度、優しく言葉を発してくださいました。
「大丈夫よ。まだ、邪の波動の扱いに慣れていないだけなの。すぐに こんなことは無くなるから」