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サラの日記340(「やめてくださいよ。息ができなくて苦しいです」)

銀菓神暦2016年3月11日

昨日のあれから、ジャックさんと口をきいていません。
それに、気まずくて、メランジェ研究室にも行けません。
もちろん、数日前に送り出してもらったばかりのルセット研究室に駆け込むわけにもいきません。
ルセット先生の意識体には伝わっているはずなのに、昨日のことについては何も言われません。
自分の出る幕ではないと判断されているのでしょう。
仕方が無いので図書館に行きました。

両手いっぱいに本を抱えたケンジさんが、返却カウンターに並んでいらっしゃいました。
ケンジさんから見える位置に立って会釈すると、気付いたケンジさんも会釈を返してくださいました。

返却を終えたケンジさんに声を掛けました。
「紙の本、お好きなんですか?」
「職業病のようなものですよ。紙の本には、その本を手に取った人の波動のかけらが残ってることがあるのでね、それを見付けるのが楽しいんです」
「来週ですね。修了式」
「はい。でも、もう研修に入っていますし、修了式の翌日からも仕事ですから、あんまり実感ないんですよ。……だけど……、なんだか安心しているんです」
ケンジさんは雑誌コーナーのソファに腰かけ、私にも座るよう促してくださいました。

「もしも仕事で何かあっても、ここにもう1年サラさんがいらっしゃると思うと、帰って来られる場所がある……とでも言うか、なんだか安心なんです」
「じゃあ、あと5年ぐらい居ましょうか。留年しまくって……」
ケンジさんの顔を覗き込みながらそう言うと、ケンジさんはお腹を抱えて笑い出されました。図書館なので、声は必死に抑えて……。

ケンジさんに腕をつかまれて、図書館の外に出ました。
ケンジさんは思いっ切り大きな声で げらげら笑っていらっしゃいます。
「サラさんって、王太子妃って感じしないですね」
「はい。ご予約はいただいておりますが、まだ庶民ですから」
ケンジさんが面白がってくださるのが楽しくて、わざと真顔でそう言ってみました。
「やめてくださいよ。息ができなくて苦しいです」
ケンジさんは、こみ上げ続ける笑いと格闘されていらっしゃいました。
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