サラの日記332(だけど、生まれてすぐに、ケンジの存在は隠された。)

銀菓神暦2016年3月3日

ケンジさんがプラクミーヌの陰の王子?
陰ってどういうこと?
ゾエさんに兄弟が居たってこと?
でも、ゾエさんは私たちより1つ年上。ケンジさんと同い年。
どうなってるの?

そんなことばかりが頭の中をぐるぐると回っている私に、ルセット先生は教えてくださいました。

「ケンジとゾエは双子なんだ。だけど、生まれてすぐに、ケンジの存在は隠された。プラクミーヌにとって、次期王位継承者は女性の方が都合が良かったんだ。先に花綵アグルムに生まれていた僕が男だったから、婚姻によって国を大きくするためには、その方が都合が良かった。一方ケンジは、花綵アグルムで、プラクミーヌの隠し玉として育てられた。ゾエを使った政略がうまくいかなかった時のための隠し玉だ。彼の任務は、ゾエを使った政略が上手くいかなかった時、花綵アグルムの王子から妃を奪い、国を奪うこと。だからケンジは、僕の勤務先である花綵キャンパスの研究生として僕を見張り、サラのこともずっと見ていた。でも、……ケンジは、任務として割り切ることのできない想いを抱く(いだく)ようになったんだ。サラに」

ルセット先生は大きく深呼吸すると、再び話し始められました。

「プラクミーヌの王には、今僕たちが起こしていることの全てが予定外のことなんだ。ゾエとジャックが手を取り合おうとしていること。ケンジがサラを守ろうとしていること。……僕たちは、戦いや奪い合いによって国を大きくするのではなく、支え合うことで国を大きくしていくことができるはずだ。1つ前の時代の人たちが策略のために仕掛けたものを、僕らなら、協力し合うための道具にすることができる。そう思うんだ。だからケンジに頼んだんだ。サラのセカンド・パートナーになって欲しいと。……ケンジは思ったかもしれない。花綵アグルムの王子は、とうとう、その誇りを捨ててまで自分にそんなことをお願いするのか……って。でもいいんだ。そう思われてもいい。そう思われても、僕は時代を変えたい。……サラは……どう思う?」

ルセット先生の瞳の真ん中に、私が小さく映っています。

「……ミシェルと……同じ」