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サラの日記314(<僕に掛けている、その邪魔な力を止めてくれ>)

銀菓神暦2016年2月14日

ルセット先生に掛け続けている癒しのアロゼは、いつも以上にぐんぐん吸い取られていくのに、疲労感は全くありませんでした。
分かっています。
ケンジさんが、銀菓神使ミエットが、ペンダントの小さな鳥居を通して、私に力を注ぎ続けてくれています。

お昼を過ぎた頃、ルセット先生の意識体からメッセージが流れてきました。
<誰だ?>
<私よ。サラ>
<嘘を言うな。お前は誰だ>
<嘘じゃない。私はサラ>
<誰でも構わない。離れろ。近付くな>
ルセット先生の顔が、苦痛にゆがんでいます。
そして、こんなことを伝えてこられました。
<僕に掛けている、その邪魔な力を止めてくれ>
胸がちくっとして、どきどきして、苦しくなって、これまで掛け続けてきた癒しのアロゼを止めて、部屋を出ました。

城の屋上の鳥居に、気持ちのままに手をかざしたら、くぐり抜けた先は、大学院の2年生の棟の屋上でした。
どしゃ降りの雨の中に、ケンジさんが立っていました。
「どうされたのですか? サラさん」
混乱したのと安心したのがごちゃごちゃに混ざって、
「ミシェルに邪魔だと言われたの」
と、ケンジさんに飛びつきました。

ケンジさんに促され、空き教室に入りました。
暖房を強めて、タオルを手渡してくださいました。
「邪魔なのはサラさんではなく、ミエットの力ですよ。今日は癒しのアロゼが売り切れ状態でしたからね。ミエットの力の割り合いが多くなり過ぎてしまって、いつもと違うと感じられたのですよ」
ケンジさんは優しく微笑んでくださいました。
「……じゃあ、何日も癒しのアロゼを掛け続けていても気付かれなかったのは?」
「んー。……これ以上無いパートナー……だからですかね。自分のものだか相手のものだか区別が付かないぐらいの。……やっぱり僕には入る隙間もない。……さ、落ち着かれたら戻ってくださいね。あ、髪と服はちゃんと乾かしてからの方がいいですよ」
ケンジさんはそう言うと、木の枝の形がそのまんまの横笛を吹き始められました。
この間、空気ではないものを伝わって届いた、荒っぽくて不器用な感じの、あの音でした。
だけど、荒っぽくても、あの音、なんか好きだな……。

「また、会えますよね?」
うんと言ってくださるのを期待していましたが、
ケンジさんは ただ微笑んで、会えるとも会えないとも答えてくださいませんでした。
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