サラの日記306(屋根も壁も無くて寒いので、ケンジさんも私も銀菓神使スーツを着装して作業しました。)

銀菓神暦2016年2月6日

私が受講している科目の試験は昨日で全部終わったのだけど、
成績発表までは大学院に行く必要はないのだけど、
メランジェ研究室でやらなければならないことは たくさんあるし、
ケンジさんにお礼を言えないままになっていることも気になっているし、
いつも通りに出掛けました。

お昼に食堂の周りを少し うろうろしてみましたが、いつもより人影がまばらで、
特に誰ということはないのだけど、見付けて欲しくない人に見付かってしまいそうで、
すぐに植物館の方に移動しました。

植物館の中を散歩していたら、なんとなく鳥居をくぐってみたくなりました。
特に目的地は無いのだけど、
何も考えずにくぐってみたらどうなるのかな……なんて。

鳥居をくぐった先は、前に何度かルセット先生と一緒に来たことのある、4次元時空間の植物館の前でした。
両手で何かを抱えて こちらに向かって歩いている人がいました。

「あれ? サラさん? こちらにご用事ですか?」
ケンジさんでした。
「いえ、あの……。なんとなく来てしまいました」
「サラさんって面白い人ですね。なんとなく来ただなんて」
ケンジさんは笑いながら私の目の前に来られ、抱えていたのは木の枝や枯れ葉だということが分かりました。
「これ、どうするんですか?」
「ん? あ、研究生時代の思い出に、記念の品でも作ってみようかと思いまして……」
「これで?」
「ええ。もし よろしければ一緒にいかがですか?」
「……はい!」
一瞬迷ったけれど、嬉しくなって、やる気満々の返事をすると、ケンジさんはまた笑われました。
「やっぱりサラさんは面白い人ですね」

ケンジさんの秘密の作業場は、2年生の研究室のある棟の屋上でした。
ケンジさんが言われるには、屋上は普段は誰も見上げることが無くて、秘密の作業場として使える絶好の穴場なのだそうです。
でも、屋根も壁も無くて寒いので、ケンジさんも私も銀菓神使スーツを着装して作業しました。