スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

サラの日記296(「もしもサラさんの想いが叶わないようなことがあったら、僕が代役を買って出るつもりでした。もちろん今でもそうですよ」)

銀菓神暦2016年1月27日

植物館に立ち寄ったら、偶然ケンジさんに会いました。
この間、図書館で声を掛けられるまでは、私はケンジさんのことを、ちゃんとケンジさんだと思って見たことはなかったのだけど、
ケンジさんは植物館や中庭に居た私のことを、ちゃんと私だと思って見てくださっていたってことを知りました。

「無理もないですよ。僕はこの通り存在感ゼロの男ですけど、サラさんは僕の目に留まってしまうタイプの人でしたから。以前から色んなものをこぼしていらっしゃったのでね」
ケンジさんはそう言いながら笑いをこらえていらっしゃる様子でしたが、数秒後にお腹を抱えて笑い出されました。
「あの……、そんなに? 私、何をこぼしてましたか?」
「んー。えーっと。……ある人が中庭のベンチに座っていたんです。見ているこっちの方が切なくなってしまいそうなぐらいの愛情を、そこらじゅうに こぼしまくっている1年生が。まだ銀菓神使の力の使い方を知らないようでしたし、拾い集めて再利用なんてものでもありませんしね。そのまま見ているしかなかったんですが、そのうち気が付いたんです。彼女が中庭のベンチから見ている視線の先には、いつもルセット先生がいらっしゃる」
「その彼女って……、私……ですよね?」
ケンジさんは にっこりしてうなずかれました。
「他にも色々こぼしていらっしゃいまいした。不安や……迷い……。でも、そういうのはミエットの力では何もして差し上げられないんです。見えてはしまうんですけどね……。やっと、お手伝いできることが見付かって……。見えてしまうのに何もして差し上げられないのは、もやもやして苦しいものですよ」

そのあともケンジさんの話は続きました。
ちょっと立ち寄るだけのつもりだった植物館で、気が付いたら1時間以上話し込んでいました。
話の最後に、ケンジさんは少し冗談めかして言われました。
「もしもサラさんの想いが叶わないようなことがあったら、僕が代役を買って出るつもりでした。もちろん今でもそうですよ」
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。