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サラの日記290(「ルセット先生にお話しできないほどのことを、私が、いいんですか?」)

銀菓神暦2016年1月21日

モンテ先生の研究室の隣りの教室で、ケンジさんと待ち合わせをしていました。
昨日ケンジさんから漏れている力の再利用の話を聞いた時、すぐにでもお願いしたい心境だったのだけど、ケンジさんは1晩待った方がいいと時間をくださいました。王太子の婚約者が、そんなに簡単に見ず知らずの人間と関わらない方がいいと。
自分から声を掛けておいて、変わった人。
でも、私の立場を よく考えてくださる優しい方です。

「ルセット先生にはご相談されましたか?」
教室に入って来られたケンジさんは、緊張で硬くなった笑顔でした。
ケンジさんの質問に、私は首を横に振りました。
「ご相談されなくていいんですか?」
ケンジさんが不安そうな表情をされました。
「……訳があって、このことは話せないんです」
私はそう答えて目線を下に落としました。
数分間の沈黙が続きました。

「ルセット先生にお話しできないほどのことを、私が、いいんですか?」
ケンジさんの声からは緊張感は抜け、真剣な穏やかさに変わっていました。
「お願いします……」
私は目線を下に落としたまま、ケンジさんに頭を下げました。
「ルセット先生は本当にお幸せな方ですね。なんとなく分かりますよ。ルセット先生にお話しできない訳が」
そのケンジさんの言葉に顔を上げると、ケンジさんは にっこり笑ってくださっていました。

ケンジさんはミエットの銀菓神使スーツを着装して、私に術を掛け始められました。
私の周りの空気の中に小さな結晶が見え始め、その結晶同士がくっつき合って さらに大きな結晶になり、
やがて、直径10cmほどの ひとつの塊になりました。
ケンジさん、いえ、銀菓神使ミエットさんは、その塊をそっと両手ですくうと、私の胸の方へ向かって、ゆっくり そーっと投げられました。
その塊が私の中に入っていくと、この間から感じていた慢性的な疲労感がすーっと消えていくのを感じました。

「ありがとうございます。お礼はどうすればいいですか?」
「そういうのはいいんです。僕が気になって声を掛けさせていただいたんですから」
「でも……」
「じゃあ、これからもサラさんの力にならせてください」
「はい! ありがとうございます」
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