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サラの日記267(俺がプラクミーヌに通う)

銀菓神暦2015年12月29日

お昼前、部屋をノックしたのはジャックさんでした。
「あ、サラちゃん。兄貴居る?」
「うん。どうぞ」

ルセット先生が奥のソファに座るよう促すと、ジャックさんは座りながら話し始めました。
「昨日さ、お互いよく知らないのに、パートナーになれるもなれないも無いよねって話になったんだ。取り敢えず日程の許す範囲で、できるだけ たくさん会ってみようってことになったんだ。俺さ、明日からゾエちゃんのところに通うよ。それでなくても俺の周りは花綵(はなづな)アグルムの人間だらけなのに、ゾエちゃんばかりが花綵アグルムに来なきゃならないのは公平じゃないだろ? 俺がプラクミーヌに通う」
「王への報告はどうする?」
ルセット先生がジャックさんにたずねると、さっきまで真剣な表情だったジャックさんの頬がゆるみました。
「お忍びで女の子に会いに行くんだから、国も父さんも関係ないよ。あ、それとさ、ゾエちゃん、こんなこと言ってたよ。『私はプラクミーヌの王女として育ってきたから、サラさんみたいにはなれない。ミシェル殿下の望むような人にはなれない。サラさんが、今のままのサラさんでいられるような殿下でいてくださることを希望しています』ってさ」
「……そうか」
「ま、俺はゾエちゃん嫌いじゃないよ。かわいいしさ。話してると ちょっと堅過ぎるかなってところもあるけどさ、根は面白い子だよ。でなきゃ、わざわざ花綵アグルムのサラちゃん家(ち)の店にミカンの加工を発注しようなんてこと思い付かないだろ? て言うかさ、ちょっと好きだったんだ。サラちゃん家の近くでゾエちゃんを初めて見てさ、なんかいいなーって思って、ゾエちゃんに会いたくてサラちゃん家の手伝いに行ってた。そん時は まさかプラクミーヌの王女だなんて、これっぽっちも思ってなかったよ。それからさ、俺にセカンド・パートナーがいるってことは話しておいたよ。嫌われっちまうかと思ったけどさ、俺、タツキちゃんの居ない人生なんてどうよって感じなんだよ。ゾエちゃんは、そのことも お互いをよく知らないままじゃ判断できないって言ってくれたんだ。いい子だよ」
ルセット先生も、そんなジャックさんにつられて頬をゆるませていました。
「……そうだな」

「それから……」
ジャックさんの表情が再び真剣になりました。
「俺、ゾエちゃんに何度も助けてもらってるよ。昨日ゾエちゃんに会って分かったんだ。ゾエちゃんの波動は あの時と同じ波動だ。どこの誰とも分からない俺を、ゾエちゃんは何度も助けてくれた。そのゾエちゃんがどういう子なのか よく知りたいし、今度は俺が、ゾエちゃんのために何かをしたい」
「分かった。……お忍びってことなら、付いて行けるのはウィルだけだな」
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