サラの日記218(今までなら、ちゃんと理由を教えてくれていたルセット先生が、 カリンさんのことは何も教えてくれない。)

銀菓神暦2015年11月10日

今までなら、ちゃんと理由を教えてくれていたルセット先生が、
カリンさんのことは何も教えてくれない。
――きっと、聞かない方がいいんだよね――

カリンさんの音色も聞こえて来なくなりました。
でも、風が吹く度、カリンさんのあの音色を捜してしまう。
違う世界に生きる者同士なのに、
カリンさんの音色の中に、私の中の何かと同じものを感じてしまう。
なんだろう、この感じ……。

放課後の地下室で、
カリンさんには届かなくなってしまった のし棒横笛を吹いていました。
それでも ひょっとして、何かの拍子に届いたりするんじゃないかと思って……。

届いたりするんじゃないかと思って……。

……届く?
……届けたい?
あれっ?

――あの音色はカリンさんの波動そのもの?――

ルセット先生が何も教えてくれない理由が分かったような気がしました。
ルセット先生は優しい。
カリンさんを拒んではいない。
私にカリンさんの音色が聞こえてしまうのは、
私の中にあるルセット先生の意識の半分が、カリンさんの音色を拒んではいないから。

私は、
ルセット先生のことを、
まだ、
ほんの少ししか知らない。