サラの日記216(――結界を張らなければならないほどのことなのに、どうして『すまない』なの?――)

銀菓神暦2015年11月8日

研究室はお休み。
ルセット先生は天戸キャンパスと留守神の事前準備で終日留守です。

ルセット先生が『すまない』と言いながら結界を張っていた場景が、何度も何度も頭の中をぐるぐる回っています。

――結界を張らなければならないほどのことなのに、どうして『すまない』なの?――
ぼんやりそんなことを考えていたら、遠くであの音色が流れているのが聞こえてきました。
なんとなく のし棒横笛を手に取って、その音色に重ねて吹いてみました。
危険なのかもしれないけれど、そうせずにはいられませんでした。

しばらくすると遠くのあの音色がやみましたが、そのまま吹き続けていました。
すると、今度は私の のし棒横笛に重ねるようにして、再び遠くのあの音色が流れ始めました。

カリンというのがどんな人なのか分からないけれど、音を重ねているぶんには嫌な感じは全然無くて、ずっとこのまま吹き続けていたい感じがしました。

カリンさんが奏でているのは、おそらく何かの横笛です。
のし棒横笛の音色に似てる。
だけど、愁い(うれい)を帯びた音色。
内に秘めた愁いをすっぽりと包み込むように、温かさで覆われた音色。

あ、ジャックさんが銀菓神使の仮称号試験に合格しました。
明日メランジェ先生を通して教えてもらえるはずなんだけど、それまで待ち切れなくて、自分で銀菓神局まで行ってきちゃったみたい。