サラの日記214(ルセット先生は何かを警戒しているような様子でした。)

銀菓神暦2015年11月6日

夜中に目が覚めると、いつの間にかルセット先生が隣りで眠っています。
帰って来るのは私がベッドに入ったあとで、
いつ帰って来ているのかは分かりません。
朝はゆっくり話している時間は無いし、
昼間の仕事中は もちろん ゆっくりは話せない。

ルセット先生が留守神の仕事に行かれるまで あと2週間。
――ミシェル、こんな感じのまま留守神の仕事に行ってしまうのかな……――
不安……っていうよりも、ちょっと淋しい。

淋しいと思いながら中庭のベンチに座っていたら、
風の音に混ざって、昨日と同じ何かの音色が、遠くで流れているのが聞こえました。
誰が奏でているのか、何の音なのか、どこから聞こえてくるのか分からないけれど、
なんとなく心地いい。

ルセット先生の研究室の窓と、メランジェ先生の研究室の窓が、ほとんど同時に開くのが見えました。
ルセット先生もメランジェ先生も、何か不思議なものを見るような目で私を見ていらっしゃいます。

ルセット先生が手刀で私の周りに結界を張るのが見えました。

<サラ、大丈夫?>
ルセット先生は何かを警戒しているような様子でした。
<うん。……何かあったの?>
私には、ルセット先生が なぜ結界を張ったのか分かりませんでした。
<なんでもない。無事ならいいんだ>
ルセット先生は結界を解くと、研究室の窓を閉められました。

いつの間にか、あの心地良い音色は聞こえなくなっていました。

メランジェ先生は、ルセット先生が窓を閉めるのを見届け、自分も窓を閉められました。