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サラの日記208(「忍者の流派かなんかじゃない? ……おぉーっ、あったけぇー。これがうまい季節になったよぉ」)

銀菓神暦2015年10月31日

大学院での授業は午前中だけでした。
ルセット先生は今日も天戸へ……
いえ、今日は天戸へは行かれないようで、
「『西瀬忍(にしせしのべ)』で間違いないよね?」
と確認されたあと、
「ちょっと人に会ってくる。夜になるかもしれないから、先に休んでていいよ」
と、研究室の鳥居の中に入って行かれました。
その後ろ姿がからは、ちょっぴり嬉しそうな雰囲気が……。

研究室のドアをノックする音が聞こえて、ジャックさんが顔を覗かせました。
「あれ? 兄貴は?」
「今、出掛けちゃった。何か用事だった?」
「ううん。なんとなく寄ってみただけ」
ジャックさんは部屋の中に入ると、ハーブティーを入れ始めました。

「ねぇ、ジャックさん。『西瀬忍(にしせしのべ)』って聞いたことある?」
「にしせ? ん? それがどうかしたの?」
ジャックさんは『西瀬忍』を知らないようでした。

「忍者の流派かなんかじゃない? ……おぉーっ、あったけぇー。これがうまい季節になったよぉ。サラちゃんもどうそ」
ジャックさんはそう言いながら、湯気の立つカップを両手ですっぽり包み込みました。
「うん、ありがとう……。西瀬流忍者? ミシェルに忍者の知り合いっている?」
私はカップを受け取りながら、ジャックさんに向かって首をかしげました。
「いるんじゃない? 聞いたことないけどさ」

――だけど……、忍者なら「しのび」だよね。「しのべ」じゃなくて……。本当に忍者のことなのかなぁ……――
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