サラの日記198(もしも、ミシェルの中の私を優勢にしたまま、ミシェルの身体を返さなかったらどうする?)

銀菓神暦2015年10月21日

今日も早朝の地下製菓室で意識体切り替えの練習。

「ねぇ、ミシェル。もしも、ミシェルの中の私を優勢にしたまま、ミシェルの身体を返さなかったらどうする?」
ちょっとした冗談のつもりでした。
でも、ルセット先生は、
「いいよ。サラが使ってくれるなら。ずっと預けたままで構わない。ただ……、サラにはまだ、早いかな……。まだ、身を守る術(すべ)を教えていない」
と、表情を曇らせました。
「どういうこと?」
「……僕の、『永遠(とわ)の記憶の呪縛(じゅばく)』を利用しようとしてる奴らがいる。僕が闇の銀菓神だった頃の記憶を利用しようとしてる奴らがいる」
「……」
「大丈夫だよ。銀菓神使の力は奴らに劣らない。さ、時間だ。教室に行こう」

タツキちゃんに聞いてみました。グラセさんとの意識体でのやり取りのこと。
意識の結合や意識体での会話はするけど、
お互いの半分を相手に預けるようなことはしていないって。
自分の意識体を100%使えないなんて、そんな効率の悪いやり方はしないって。

じゃあ……、
ルセット先生は、自分が狙われていることを知っていて、
自分がやられても私の中にその半分が残ることを願って、
私の中に自分の半分を預けているの?
そしてその反対も?
――そういうこと?――

<そういうことだよ、サラ。僕に万が一のことがあった時には、サラが守るんだ。光と闇の銀菓神の記憶を。神聖な記憶が悪用されるようなことがあってはならない。サラに万が一のことがあった時には、僕がサラを守る。まあ、万が一のことにはさせないけどね。あ、今日も放課後は天戸(あまと)だから。ごはん、先に食べてていいよ>
ルセット先生からのメッセージが流れ込んできました。

私が今、ルセット先生と一緒に居るのは、
好きだとか嫌いだとか、そんな単純なものではなくて、
銀菓神界の大きな時間の流れの中で、
そうあるべくして そうなっているのだと、
なんとなく ぼんやりと見えた気がしました。