サラの日記174(「グラセとタツキさんを会わせるって話したら、勝手に付いてきたんだよ」)

銀菓神暦2015年9月27日

大学院はお休みでした。

午前中、銀菓神使仮称号試験を受けに銀菓神局に行ってきました。
筆記試験も実技試験も、これまでルセット先生やメランジェ先生と一緒にやってきたことそのままで大丈夫な内容でした。
学校での試験とは違って、職業としてやっていけるかどうかを試されているような試験でした。
○や×では採点できないような内容の試験だったので、どの位の点数を付けてもらえているのかは予測不能。
結果発表までおとなしく待っているしかありません。

で、問題の午後。
集合はルセット先生の研究室でした。
研究室に居たのは、ルセット先生、グラセさん、タツキちゃん、それから何故かジャックさんも……。
グラセさんは移動用の鳥居に手をかざすと、タツキちゃんの手を取られました。
ジャックさんが少し慌てた様子で、タツキちゃんのもう一方の手を取りました。
その様子を見ながら、
――そっか……。タツキちゃんは初めての鳥居か……――
なんてぼんやりしていたら、私もルセット先生に手を取られました。

鳥居を抜けると、目の前には小さな湖が広がっていました。

「どうしてジャックさんも居るの?」
小声でルセット先生にたずねました。
「グラセとタツキさんを会わせるって話したら、勝手に付いてきたんだよ」
ルセット先生も小声でした。

ルセット先生と私は、グラセさんとタツキちゃんとジャックさんが雑談している様子を、少し離れたところで見守っていました。

グラセさんが湖に手をかざして、
「タツキちゃん、来て」
と言っているのが聞こえました。
グラセさんに手を引かれたタツキちゃんは、グラセさんと一緒に湖の表面を歩き始めました。
グラセさんはジャックさんも呼ばれました。
グラセさんはタツキちゃんとジャックさんの手を引いて湖の表面を歩こうとされましたが、ジャックさんは湖の表面に立つことができないようでした。

ルセット先生がは湖の3人に目をやったまま話し始められました。
「あれ、サラのアロゼスペシャルと同じなんだ。慣習のパートナー同士で繋がっていないと使えない技……。タツキさんには、もう、ミロワールの力が目覚めてる。グラセと繋がることのできる力が目覚めてる。無理にジャックを選べば、タツキさんは技の使えない銀菓神使になってしまうかもしれない。ジャックは多分、それを試すために付いてきた。と思ったんだけど……、ん? まだ諦めてはないみたいだな……」

ジャックさんが湖の周りに生えている草に手をかざしているのが見えました。
手をかざされた草は急速に伸びて複雑に絡み合い、湖の上に橋を作りました。
ジャックさんは橋の上から手を伸ばし、タツキちゃんを橋の上に迎えました。

そんな調子でグラセさんとジャックさんの技合戦が続き、決着のつかないまま、空には星が見え始めました。

タツキちゃんが2人に何か言っているのが見えて、3人そろって私たちの方へ歩いてきました。
タツキちゃんはルセット先生に、
「今日すぐには決められないから、少し時間をもらうことにしました。でも、ありがとうございます。これでちゃんと決心できそうです」
と言って、私にも
「ありがとう」
って、にっこりしてくれました。