サラの日記165(「私、ルヴィーブルにすれば良かった……」)

銀菓神暦2015年9月18日

1日掛けて、植物館の大掃除をしました。
夏休みの間に茂ってしまっていた雑草が無くなって、すっきりしました。

「ゾエちゃんのこと、大丈夫だった?」
ジャックさんが聞いてきてくれました。
「うん。もう大丈夫」
ジャックさんと2人で顔を見合わせて にっこりしていたら、同じメランジェ研究室のタツキちゃんがやって来ました。
夏休み前までは、あんまり目立たないってイメージの女の子だったのだけど、最近よく話し掛けてくれるようになった子。
黒髪のショートカットで、切れ長美人。
「ジャックさん、サラちゃん。なんか面白いことあったの?」

「あのね……」
しゃべろうとした私の口を、ジャックさんが慌てて手でふさぎました。
「も、もう! 草むしりした手を口にもって来ないでよ!」
ジャックさんの手を払いのける私と、それに はっとするジャックさんの様子を見て、タツキちゃんが笑い転げました。
「いいなぁ、仲良しで。私、てっきり、ジャックさんとサラちゃんはお付き合いしてるのかと思ってた」
「俺は好きだったんだけどなぁ。ふられたの。ま、エルブとアロゼじゃパートナーにはなれないしさっ、いいんだけど」
ジャックさんがおどけて そんなことを言っているのを、タツキちゃんは にこにこして見ていました。それから ぽつりと、
「私、ルヴィーブルにすれば良かった……」
って、小さな声だったけれど、確かに「ルヴィーブルにすれば良かった」って。
おどけていたジャックさんに、聞こえたかどうかは分からない。
私は、何か言ってあげた方がいいのか、聞こえなかったことにしておいてあげた方がいいのか、色々考えているうちに、結局何も言えませんでした。

タツキちゃんは銀菓神使ミロワールの候補者。慣習のパートナーは銀菓神使グラセ。
グラセか……。誰だろう、グラセ……。
グラセが欠番中なら、同じくルヴィーブルが欠番中のジャックさんと、パートナーになれないこともない。
だけど、ジャックさんはゾエさんを……。
……んーっ、もう よく分かんない。
仮称号試験まであと10日を切ってるのに、こんなことばっかり……。