サラの日記158(俺が、気に入った子をルヴィーブルに育てればいいってこと。)

銀菓神暦2015年9月11日

そろそろ来るんじゃないかと思っていました。
今まで来なかったことの方が、なんでだろうって感じです。

今週いっぱいは受講科目の登録期間になっていて、まだ授業は無いので、誰も居ないメランジェ製菓室で本を読んでいました。
今読んでるのは、花綵アグルムのお妃講座のあれこれ。
人前で読むのはどうかと思うけど、本格的に授業が始まったら、お妃講座に使える時間は減っちゃうだろうし、時間がある時に少しでも読み進めておきたくて、誰も居ない場所を見付けては本を開いています。
そしたら、隣りにジャックさんが座ってきて、
「ねえねえ、あの子、まだ見付かんないの?」
って。
そう! そろそろジャックさんが そう言って来るんじゃないかと思っていました。
ジャックさんも花綵アグルムの王子なのだったら、それぐらい自分の力でなんとか調べてよ……って心境だったけど、
まあ、一度引き受けちゃったことだし……。

「えーっとね……」
どこから話そうか、どこまで話そうか……と思案してる私。
「うん、うん」
わくわくしながら次の言葉を待ってるジャックさん。

「あのね、お店には来たみたいなの」
「えっ!? それで、それで?」
ジャックさんの目が、いつもの1.5倍ぐらいに大きくなりました。
「でもね、名前はまだ聞けてないみたいなの」
「……ん? まだ? じゃあ、聞けそうってこと!?」
だんだん前のめりになって、顔が近付いてくるジャックさん。
「う、うん。近いうちに会えるかもしれないって話にはなってるんだけど……」
近付くジャックさんの顔に、身を逸らす私。
「いつ? いつ会うの?」
さらに近付くジャックさん。
「あの……。近い……」
ジャックさんは、はっとした表情で姿勢を戻してくれました。
「まだ分からないの。でも、何か進展したら必ず話すから。もう少し待ってて」
「うん!」
ジャックさんは、また前のめりになりそうなのを直しながら、嬉しそうにうなずきました。

「でも……。代々の慣習のパートナーじゃなくていいの? エルブのパートナーって誰?」
ずっと引っかかっていたことを聞いてみました。
「慣習ではルヴィーブル。でも欠番中。今のところ候補者もいない。誰を選んでも俺の自由。俺が、気に入った子をルヴィーブルに育てればいいってこと。兄貴がサラちゃんにやったみたいに」
ジャックさんは勝ち誇ったような表情で、口を思いっ切り横に伸ばして、にーっと笑っていました。
なるほどね。
うん……、なるほどね。