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サラの日記144(ミシェルが作る、新しい花綵アグルムを見てみたい)

銀菓神暦2015年8月28日

国王陛下と王妃、ミシェル王太子とジャック第二王子、それから私で、ちょっとした話し合いがありました。
王位継承のことについてです。

国の現状や、国の人たちの心情を考えると、領地を失ったミシェルには王位を継承するわけにはいかないという話でした。
国王陛下は、ミシェルの領地で生活していた人々のことを思えば、ジャックさんに王位を継承させるのが良いのではないかと迷っていらっしゃるようでした。

ミシェルも私も、国王陛下の考えに賛成でしたが、ジャックさんは、
「兄貴はそんな中途半端な気持ちでサラちゃんと一緒になろうと思ったの? そんなことしたら、サラちゃんのご両親に二重に心配掛けちゃうことになるよ。国の人たちだって、兄貴に対して、無責任で中途半端な奴だってイメージが大きくなるだけだよ。こんな時だからこそ、兄貴が継承して、国のことも、サラちゃんのことも、最後まで守り通すべきなんじゃないのかな。そうだろ? 兄貴?」
と、意見を出してくれました。

ミシェルは深いまばたきを ゆっくりすると、
「本当は、国のことも、サラのことも、自分の手で最後まで守りたい。でも、国の民あっての花綵アグルムだから、国の民に受け入れられないようなことはできない」
と、ジャックさんの方に視線を向けました。

「サラちゃんを手に入れたいがために領地を失った時点で、国の民には間違いなく嫌われてるよ」
ジャックさんはミシェルに、皮肉っぽい笑みを送りました。
それから、こう続けました。
「ねぇ、兄貴。嫌われついでに、最後までその調子でサラちゃんを守ってみない? じゃないと俺、サラちゃんのことが心配で心配で、兄貴からサラちゃんを奪っちゃうかもよ? ね、父さん。父さんなら俺の言ってること、分かってくれるよね?」

ミシェルは目を閉じて下を向き、国王陛下は静かにうなずかれました。

私は……、私の口から、こんな言葉が出ていました。
「連れってって、ミシェル。最後までやり通したあとの花綵アグルムに。ミシェルが作る、新しい花綵アグルムを見てみたい」

ミシェルはゆっくりと国王陛下の方に向き直すと、
「父上。王位継承の件については父上のご判断にお任せします。ただ、新しい花綵アグルムを作っていくことは、サラを迎えることを決心した時からの、私の願いでした。許されるのなら、最後までやり遂げたいというのが本心です」
と、自分でもその思いを一つ一つ確かめるかのように言葉にしました。

「ミシェルが領地を失ったのは、私の力が及ばなかったからでもある。……ミシェルの王位継承を来年に考えていたのは、プラクミーヌとの縁談があったからなんだ。……そうだな、もう来年に縛られる理由は無い。新しい花綵アグルムの基盤ができあがるまで、王位継承の件は延期にしよう。私が、国王としてお前たちを守る。自分たちの思うように、新しい花綵アグルムを、ゆっくり作っていけばいい。ミシェル、ジャック。それでどうかな?」
国王陛下の言葉に、ミシェルとジャックさんは、ゆっくりうなずかれました。
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