サラの日記143(ルセット先生は、「あ!」って顔をして、その口を手でふさいで、部屋を出て行こうとされましたが、ジャックさんにしっかり捕まえられました。)

銀菓神暦2015年8月27日

昨日のこと、忘れたはずはないけれど、ルセット先生は、いつものように接してくださいました。

大学院、行きはルセット先生と一緒でしたが、ルセット先生は夏休み明けの準備で色々と時間が掛かるそうなので、私だけ先に帰りました。

ルセット先生は夕食の時間になっても戻って来られなくて、キッチンでどうしようかと考えていたら、マリーさんが、
「よろしかったら、ジャックさんのお部屋でどうですか? 私もご一緒させていただきますから」
って声を掛けてくださいました。

ルセット先生にメッセージを送ってみたら、
<いいよ。先に食べてて>
と返って来たので、ジャックさん達と夕食にすることにしました。

マリーさんと一緒にジャックさんの部屋に入ると、
「サラちゃん、久しぶりー」
と、相変わらずのジャックさんが、右手を軽く挙げて迎えてくれました。

メランジェ先生が、ジャックさんが茂らせている大葉にどっぷり漬かっている話をしたら、ジャックさんは申し訳なさそうな顔になったり、嬉しそうな顔になったりしていました。

一通りの食事が済んだ頃、ジャックさんが、「サラちゃん、もしかして……」と、私の胸のペンダントをじっと覗き込んできました。
「もしかして、……何?」
私はジャックさんの方を覗き込みました。
「いや、やっぱり俺の口からは……」
ジャックさんはマリーさんの方に視線をやって、目で助けを求めているようでした。
すると、マリーさんが、耳元で小声で教えてくださいました。
「アグルムの聖石は、事実上の夫婦(めおと)になると、少し色が変わるんですよ」
はっとして、慌ててアグルムの聖石を手で隠したら、ジャックさんが、
「おめでとう。もう奥さんなんだね」
って、少しもじもじした様子で、小さな声で、そう言いながら席を立って、棚に並べてあったハーブ酒の瓶を1本持って来てくれました。
「お祝いに飲もう」
ジャックさんはグラスにハーブ酒をついでくれました。
みんなでハーブ酒を飲もうとした時、ドアをノックする音が聞こえて、ルセット先生が入って来られました。
「あれ? みんなで食後のお酒?」と、ルセット先生は不思議そうにしていらっしゃいました。
ジャックさんは、私のペンダントを指差しながら、ルセット先生に向かって にたっと笑って、「お祝い」と。
ルセット先生は、「あ!」って顔をして、その口を手でふさいで、部屋を出て行こうとされましたが、ジャックさんにしっかり捕まえられました。