サラの日記125(いいです! ひとりでできます!)

銀菓神暦2015年8月9日

朝早く、ルセット先生からのメッセージで起こされました。
<サラ? ジャックに薬草のレポート手伝わせようか?>
はぁ……、ルセット先生の頭の中は昨日のままか……。
<いいです! ひとりでできます!>

その1時間後。
<サラ? 薬草のレポートできた?>
<さっき起きたばかりなのに、まだです!>

その30分後。
<サラ? きょ>
<もう! うるさい!>
<今日、サラん家、行ってもいい?>
<……ん、え?>
<サラん家の工房、手伝ってみたい。ジャックと一緒に行ってもいい?>
<お母さんに聞いてみる>

で、ルセット先生とジャックさんがやって来ることになりました。
ルセット先生は工房で仕込みを、ジャックさんは私の部屋で薬草のレポートを、それぞれ手伝ってくれることになりました。

ジャックさんが真剣な顔で、「兄貴、病気なんだ……」と切り出しました。
「えっ!? 病気?」
「うん……。かなり重症の」
「重症……なの?」
「うん。かなり重症のサラちゃん中毒」
「……。もう! おどかさないでよ! 本当に心配したじゃない!」
すっごい心配した直後に、すっごい安心したら、びっくりするぐらい涙が出てきました。
ジャックさんが慌てて謝ってくれました。
「ごめん、サラちゃん。本当にごめん。だけど、兄貴、『サラのレポート、手伝ってやってくれ』とか、『ジャック一人じゃ行かせられないから、僕も一緒に行く』とか、サラちゃんに会いたいモード全開で、何とかかんとか言って、俺を利用したんだぜ? 兄貴の頭ん中、サラちゃんのことばっかりで、もう中毒じゃん」
そんな話を聞いていたら、今度は、びっくりするぐらい笑いがこみ上げてきました。
「どうして笑うの?」
ジャックさんが、きょとんとして聞きました。
「なんかね、兄弟っていいなって思って。ジャックさんにだから、好きなように言ったり甘えたりできるのね。職場じゃ絶対にできないし、ウィルさんたちの前でも難しいんじゃないかな……。多分、私にもしないんじゃないかな。私には、いい格好していたいんじゃないかと思う」
「サラちゃん、……もう奥さんみたいなこと言うんだね」
ジャックさんが、きょとんとしたまま、そんなことを言っていました。

「賄い(まかない)で、もらってきたよー」と、ルセット先生が、キッシュを持って、上がって来られました。

ルセット先生のことを、かわいい……って、初めて思いました。

ぎゅってしたくなって、ルセット先生に飛び込んだら、ジャックさんが素早くキッシュを持ってくれていました。
ルセット先生の後ろから、母が飲み物を持って来てくれている気配がしたけど、それもジャックさんが受け取ってくれていました。