サラの日記124(分かったら、もう ほっといて!)

銀菓神暦2015年8月8日

前期の成績発表なので、大学に行きました。
結果は、所属研究室の教官ではなくて、当初の担当教官から聞くことになっているので、ルセット先生の研究室に行かなければならないのだけど、この数日の間に色んなことが進み過ぎて、どんな顔して行けばいいんだろう……って考えながら歩いているうちに、ルセット先生の研究室の前に着いてしまいました。

ドアは少し開いていて、先にマヤちゃんが入っているのが見えたので、ちょっと落ち着きました。
ドアをノックすると、マヤちゃんが振り返って、にっこり笑って、「私、全部合格だった」と、私にだけ聞こえるぐらいの小さな声で教えてくれて、嬉しそうに迎え入れてくれました。

ルセット先生は何でもない顔をして、
「サラさんは……『薬草応用学』以外は合格。『薬草応用学』は8月15日までにレポート提出です」と、成績表をくださいました。

評価は5段階。A~Cが合格で、DとEは不合格。
『取り敢えずやってみよう系』は得意で、歴史と薬草は苦手。見事にその通りの成績。

銀菓史C
薬草応用学D
専門製菓実習A'
銀菓製菓理論A
異次元時空間概論A
銀菓処方学A
古典製菓実習5A'
銀菓神局法規A

「はぁ……」っと、ため息をついたところに、ルシアちゃんがやって来ました。
「ルシアさんは全部合格でしたよ」と、ルセット先生がルシアちゃんに成績表を手渡されました。
私、2回目のため息……。
ルシアちゃんが「ん?」って顔をしてこっちを見たので、
「薬草、レポートになっちゃった……」と打ち明けました。
すかさず、マヤちゃんが、「いいじゃん! 薬草なら、彼氏に教えてもらえば!」と。
「ちょっと! 違うよ! 彼氏じゃないってば!」
私、成績表を振り回しながら、断固否定。
「え? 嘘ーっ! どう見ても彼氏じゃん。違うの?」と、ルシアちゃんまで……。
「もぉーっ! 違うの!」
私、成績表を握りしめて、勢いよく振り落とす。

「あの……」と、ルセット先生が……。
「続きは外でやってもらえる?」

私たちがルセット先生の研究室を出たあと、もちろん、すぐにルセット先生からメッセージが届きました。
<ね、彼氏って誰?>
<もう! ルセット先生まで!>
<誰?>
<……っ、もう、……ジャックさんよ! みんなが勝手にジャックさんのことを勘違いしてるの!>
<それで『薬草なら』……か。ジャックね。ジャックか……>
<そう! 分かったら、もう ほっといて!>