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サラの日記122(柑橘系の果実酒が香る唇で、)

銀菓神暦2015年8月6日

家でゆっくりするの、久しぶりだなぁ……って思っていたら、お昼過ぎにルセット先生からメッセージが届きました。
<サラ? 今日は忙しい?>
<ううん。家でゆっくりしてたところ>
<今、ジャックとウィルとマリーが来てるんだけど、サラも来ない?>
<どっちの方?>
<城じゃなくて、僕ん家(ち)の方だよ>
<うん! 行く!>

ウィルさんが迎えに来てくださいました。
車中、ウィルさんは、普段のルセット先生のことを色々聞かせてくださいました。
「ミシェル殿下は、以前は物静かな方でいらっしゃったんですがね、この4月からは、毎日毎日、サラさんのお話ばかりされて、『どうしたら近付ける? どうしたら仲良くなれる?』って、こちらが呆れるほど質問攻めだんたんですよ。で、『何かプレゼントして差し上げたらいかがですか?』ってアドバイスさせていただいたのですが、……何かありました?」
「……思い返してみれば、色々」
素敵なケースに入った練習用クリームのこと、四次元時空間製の木べらのこと、写真集に挟んであったメモのこと……。
そう言えば、「何で?」って思っちゃう不思議なプレゼントをもらったな……って思い出していたら、
「あったんですね。いいお顔をされてる」
と、バックミラーのウィルさんと目が合ったので、にっこり笑い返すと、
「ミシェル殿下は、侍従の私たちを友人のように扱ってくださるんです。だから、つい、お言葉に甘えて、今日みたいに集まったりするんですよ」と、嬉しそうに話されていました。

ルセット先生の家に着くと、今度はマリーさんに話し掛けられました。
「サラさんは、ミシェル殿下のどこが好き?」
「……えーっと、……目の色と、……声と、……話し方と、……優しいところと、……頼りになるところと、……お菓子の味も好き。それから……」
一生懸命答えていたら、マリーさんが、くすくす笑い出して、
「全部聞くのに何年も掛かりそう」って、ルセット先生の方に視線を流されました。
「あっ……」って、ルセット先生の方を見てみたら、ルセット先生、恥ずかしそうにして、顔が赤くなってた。
ルセット先生の隣りに居たジャックさんも、恥ずかしそうにして、顔が赤くなってた。
何だか私まで恥ずかしくなってきて、どうしていいか分からなくなってたら、マリーさんがルセット先生の隣りに連れてってくださいました。
ルセット先生の優しい視線に包まれて、柑橘系の果実酒が香る唇で、初めてのこういう場に緊張していた唇に、そっとキスされました。
<僕はサラの全部が好き>
ルセット先生から、そんなメッセージが伝わって来ました。
「もういーい?」ってジャックさんの声がして、ジャックさんの方を見てみたら、ジャックさん、目を両手で覆っていました。

ルセット先生を好きになったら、学校以外の仲間ができた。
学校の授業に必要なだけの、グループ活動に困らないだけの、その場限りの仲間関係さえ確保できていればいいと思っていた。
でも、強がりだった。
それしかできないから、それでいいと思い込むようにしていただけ。
ルセット先生を好きになってから、心の中で、表面だけを繕ってきた、中身の無い建造物が、気持ちいいぐらいの大きな音を立てて、次々に壊れていく。
ミシェルと一緒に居れば、外の世界のことを素直に受け留められる。
必要以上に造り上げてきてしまった心の防波堤が、次々に壊れていく。
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