スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

サラの日記121(板挟みになっちゃうよ。)

銀菓神暦2015年8月5日

アグルムの聖石、どこかで見たことがあると思っていました。
昨日、ルセット先生が手をかざして、石が光を放ったように見えたことを思い返していたら、思い出しました。
2か月ほど前、約20年振りに見た夢の中に出て来た石によく似ています。
お城にはたどり着けない私に、魔法使いのおじいさんか妖精のおじいさんのような人が、私の手のひらに包み込むように、しっかり渡してくださった、きらきら光る石。
――あれは、今度はアグルムの聖石を受けることになるという予言か何かだったの?――
ペンダントを着けた自分を鏡に映して、そんなことを考えていたら、石から昨日よりも力強い光が溢れてきて、その光にすっぽり包まれてしまいました。
花綵アグラムのことが、たくさん伝わって来ました。プラクミーヌの王女様のことも。
――やっぱり、彼女はミシェルのことを想ってる。幼い日の憧れが、想いに変わってる――
光の中で、アグルムの聖石が伝えてくれるままを受け留めていました。
――私はどうすればいい?――
アグルムの聖石は、その質問には答えてくれませんでした。
――プラクミーヌの王女様のことを、もっと知りたい。1000年前の私のようには、なって欲しくない。彼女と話がしたい――

ルセット先生は大学院の仕事があると言われていたのですが、プラクミーヌの王女様のことが頭の中でどんどん膨らんで、一人では抱えきれなくなって、メッセージを送ってみました。
<ミシェル? 話したいことがあるの>
<夕方なら大丈夫だよ。来る?>
<うん>

「あのね、ペンダントの石が光ったの」
アグルムの聖石が、夢に出て来た石に似ていること、光に包まれたこと、花綵アグルムのことが伝わって来たこと、プラクミーヌの王女様のことが伝わって来たことを一気に話して、プラクミーヌの王女様と話がしたいと言いました。

ルセット先生が、ゆっくりと口を開かれました。
「サラ? 落ち着いて。アグルムの聖石からメッセージが伝わって来たってことだよね?」
「うん……」
「アグルムの聖石は、妃だと受け入れた者にしか反応しないんだ。サラはアグルムの聖石に受け入れられてる」
「……うん」
「だから、今は僕の両親がうまく動いてくれることを信じて、もう少し待ってて。今、サラが直談判に出たら、僕は二人の姫君の間で板挟みになっちゃうよ。自分で動くことも大切だけど、自分のために動いてくれる人に任せてみることも覚えて」
「はい……」
「だけど、話しに来てくれてありがとう。そういう考えの人、僕の周りには、あまり居ないから、ますますサラを離したくなくなった」
ルセット先生の温かくて柔らかな唇が、私の唇にそっと触れました。

「帰り、送ってくから、ちょっと待ってて」
ルセット先生が急いで片付けを始められました。
「あ、一人で帰るから大丈夫」
「サラを一人にすると、また良からぬことを考えるでしょ? だから送ってく」
ルセット先生は、柔らかな視線で私を覗き込まれました。
「う、うん」

ルセット先生は、やっぱり『殿下』だと思いました。
周りの人たちを信頼して、周りの人たちに任せることを知っている人。
私には少し難しい。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。