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サラの日記119(きちんと糊付けされた接客用の製菓コートに着替えて、)

銀菓神暦2015年8月3日

早朝、さて、どうやって両親に伝えよう……と考えていたら、ルセット先生からメッセージが届きました。
<サラ? ご両親のご都合が良ければ、これから伺おうかと思うんだけど>
<……うん、分かった。どうやって伝えようかと思ってたの。ミシェルが居てくれた方が話し易い>
<じゃあ、1時間後ぐらいに到着でいい?>
<はい。お願いします>

開店前の工房で作業していた両親に、花綵アグルムの王太子殿下がいらっしゃると話しました。
昨日、婚約の印にアグルムの聖石をいただいたことも。
それから、花綵アグルムの王太子殿下とは、大学院の先生として知り合って、王太子だということはあとから知らされたってことも、手短に話しました。
母は何となく感じていたみたい。
「もしかしたら、そうじゃないかと思って、用意しておいたの」と言って、きちんと糊付けされた接客用の製菓コートに着替えて、父にも接客用の製菓コートを手渡してくれていました。

工房の前にアグルムの公用車が停まって、準正装のルセット先生とウィルさんが降りてこられました。
「花綵アグルムの王太子、ミシェル・オーギュスタン・ダグルム=フェストンと申します」
「侍従のウィルと申します」
近所の人たちが物珍しそうに見物していたけれど、もう、心は決まっているから、何も怖くありませんでした。

我が家には、こういったお客様をご案内できるような場所は無くて、開店前の店内のソファにご案内することになりました。

話のほとんどはルセット先生がしてくださいました。
私は何をどこから話せばいいのか分からなくて、ずっとルセット先生に頼っていました。
やっぱり『殿下』だなぁ……って、思いました。
ルセット先生になら、安心して頼っていられる。

「では、花綵アグルム城の方へは、また日を改めてご案内いたします」
ルセット先生の、そんな声が聞こえて、いつの間にか、いい雰囲気のまま、話は終わっていました。

「明日、ご都合が許すようでしたら、先にサラさんだけ花綵アグルム城にお越しいただきたいのですが」
ルセット先生の言葉に、
両親は、「どうぞよろしくお願いします」と頭を下げていました。

ルセット先生たちが帰られたあとで、母はこんなことを言ってくれました。
「いい方ね。気取ってなくて、庶民的に話してくださる方で」
父からは言葉は無かったけれど、その雰囲気が優しかった。

ウィルさんが、ドレスと靴をいくつか持って来てくださっていました。
「これから先、城に出入りする機会が増えると思うので、いくつか持っておいてください」ってことでした。
色々着てみて、ルセット先生が似合うって言ってくださったものに決めました。
でも、ルセット先生は、こうも言ってくださいました。
「本当は、ドレスのサラよりも、いつものサラが好き」
恥ずかしかったけど、嬉しかった。
ちゃんと私を見てもらえているように思えて、嬉しかった。

夜、ルセット先生からメッセージが届きました。
<サラ? 明日、聞かれたことだけ答えれば大丈夫だから。もう、話は ほとんどしてあるから>
<うん、ありがとう>
<おやすみ、サラ>
<おやすみなさい、ミシェル>
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