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サラの日記112(さっきまでのルセット先生の温もりを感じました。)

銀菓神暦2015年7月27日

前期の期末試験が始まりました。

試験の前日にあんな話を……とも思ったけど、やっぱり、思い切って聞いておいて良かったです。
ルセット先生の気持ちをちゃんと知ることができて、今日は試験に集中することができました。
今日の科目は「銀菓史」と「薬草応用学」でした。

放課後は地下の製菓室に行きました。
昨日のことを思い返すと、ちょっと会いづらいな……とも思いましたが、ルセット先生は、いつものように迎えてくださいました。

「試験、どうだった?」
「んー、歴史関係は昔っから苦手だし、薬草応用学は難しかったぁー。学部生の時、薬草学、落とし掛けたことあるし。落としてたらどうしよう……」
昨日の空気を吹き飛ばしたくて、わざと大げさに頭を抱えて(かかえて)みました。
「そりゃー、追試になるか、夏休み返上で補習になるか、もしくはレポート地獄だね」
ルセット先生は笑っていらっしゃいました。ちょっと安心しました。

「音、出た?」
ルセット先生は笑った勢いのままで、その話に持ってってくださいました。
「出ない……」
「貸してみて」
差し出されたルセット先生の手に、『延し棒横笛』を渡しました。
ルセット先生は『延し棒横笛』を吹き始められました。
奏でているのがルセット先生だからなのか、この間聞いた『木べらギター』と同じ系統の音色が、部屋いっぱいに響きました。
「サラがちゃんと音を出せるようになるまで、時々僕に吹かせてくれる? 笛って、ちゃんと響かせてやっとかないと、鳴らない笛になっちゃうんだ」
「はい……。お願いします」
――私の知らない世界だ……――と思いながら、ぼーっとしていると、ルセット先生は再び『延し棒横笛』を吹き始められました。
透明で、きらきらしてるけど、繊細で、すぐに壊れてしまいそうな音色。

「はい、どうぞ。吹いてみて。今なら出易いと思うよ」
ルセット先生が返してくださった『延し棒横笛』から、さっきまでのルセット先生の温もりを感じました。
ルセット先生が吹かれるような澄んだ音色ではないけれど、ひどくかすれてもいない音が出ました。
ルセット先生は、うなずきながら、にっこりしてくださいました。

笛を構える唇から伝わってくる、ルセット先生の温もりに、とっても どきどきしていたことは、ルセット先生には内緒です。
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