サラの日記101(もしも、『永遠の記憶の呪縛』にかかってなかったら、……私に気付いてなかったよね……)

銀菓神暦2015年7月16日

「ねぇ、ルセット先生」
「ん?」
「もしも、『永遠の記憶の呪縛』にかかってなかったら、……私に気付いてなかったよね……」
「……」
「私も……ルセット先生に、気付かなかったかもしれない……」
「サラ、どうした?」
「……今思ってることが……、今感じてることが……、本当なのかどうか分からなくなっちゃった……。『永遠の記憶の呪縛』にかかってなければ、ルセット先生は、もっと素敵な人に巡り会えてたかもしれない。私も……、身の丈に合った人と……」
黙ったままのルセット先生に抱き締められました。

「僕は……、『永遠の記憶の呪縛』は、呪縛じゃないと思ってる。サラにたどり着くための道しるべだったと思ってる。記憶でサラを選んだんじゃない。サラに会いたくて記憶をたどった」
「……」
「サラは、……僕じゃ嫌?」
「……ううん。嫌じゃない」 ――大好き……――
<ん? 今、何か……ブロックした?>
<ルセット先生と同じ。今は言わない。内緒>
<分かった……>
ルセット先生は着装すると、マスクの唇で、私の唇に そっと触れました。
ルセット先生にこうされると、いつも胸の奥がぎゅっとなって、ちょっと苦しくて、だけど、安心感に包まれます。
ずっとルセット先生と一緒に居たくなります。
ルセット先生もそう思っていてくれたらいいな……って思いました。

「今日はジャックさんたちと待ち合わせてるの。メランジェ研究室の試験対策で」
「分かった。行っておいで」

夜、ルセット先生からメッセージが届きました。
<もしも、サラ以外に想う人が見付かっていたら、『銀菓神伝説』のことも、『永遠の記憶の呪縛』のことも、誰にも明かさなかった>
<……うん>
<おやすみ、サラ>
<おやすみなさい、ミシェル>