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サラの日記100(私さえ手を伸ばせば、)

銀菓神暦2015年7月15日

四次元時空間の研修施設で、秘伝のソースを仕込む練習をしました。
ソースに勢いが無くて、全然だめでした。
五次元のレシピを四次元で使うことの難しさを痛感しました。

「気分転換に、ちょっと歩こうか」と、ルセット先生が誘ってくださいました。
数歩先を歩いているルセット先生は、後ろに居る私の方に手を出して、私さえ手を伸ばせば、いつでも手が繋げるような格好をしていらっしゃいました。
でも、変に意識してしまって、手を伸ばせなかった。
気分転換にはならなくて、周りの景色も見えなくて、ただただルセット先生が出されている手ばかりを見て歩いていたら、その手がすっと伸びて来て、ぎゅっと握ってくださいました。
ルセット先生は、何も起こらなかったかのように、黙ったまま、さっきまでと同じペースで、同じ格好のまま歩き続けていらっしゃいました。
でも、ルセット先生は、その手の中で、私の手をわざとらしく揉みくちゃにするから、だんだんおかしくなって吹き出しちゃいました。
ルセット先生は私の方を振り返って、にっこり笑うと、更に私の手を揉みくちゃにしてこられました。
「もう! ルセット先生、やめて!」
「サラの手、くちゃくちゃにしやすいんだ」
やり返そうと思って、ルセット先生の手を掴んでみたけど、ルセット先生の手は大きくて、うまく揉みくちゃにできませんでした。

ルセット先生の手が止まりました。

「考えたんだ」
「……」
「花綵アグルム城に戻ろうと思ってる」
「……」
「サラと一緒に……時代を変えたい」
「……」
「銀菓神界の王族が庶民の血を受け付けないのは、身分がどうとかってことじゃないと思うんだ。王族同士が、自分達の身を守るために身分という手段を利用しているだけ……。きっと、どうなるか分からないことをするのが、壊れてしまうかもしれないのが怖いだけなんだ……。王族同士でなくても大丈夫だということが分かれば、きっと時代は変わる」
「……」
「来て……くれるよね……?」
私は、ルセット先生の手を、ぎゅっと握り直しました。
<また、1000年前と同じになるのが怖い……>
「大丈夫。1000年前とは違う。ここは銀菓神界。銀菓神使の力があれば、身分の差に立ち向かえる。僕には、500年前、闇の銀菓神だった時の記憶もある。おそらくサラにも光の銀菓神だった時の記憶が少し……。だから、やっぱり、できるだけ早くアロゼの称号を取って欲しい。アロゼの称号を取れば、闘える。時代と。それから……、1000年の呪縛とも」
「私にも……光の銀菓神の記憶が……?」
「……何も教えなくても僕のことを気に掛けてくれた。……何も教えなくてもアロゼの道を選んだ。……何も教えなくてもアロゼスペシャルの光が出せた。……何も教えなくても」
「分かった。分かったよ。……分かったけど、……少し考えたい」
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