サラの日記96(君たちは、神聖な作業台の上で何をしている?!)

銀菓神暦2015年7月11日

私の講義は朝だけ。
ルセット先生は夕方までお仕事。
一人でのんびり地下の製菓室にこもっていようかな……って、扉を開けたら……。
「よっ!」と、こっちに向かって手を挙げる人が……。
一瞬ルセット先生かと思った。けど、ジャックさんだった。遠目で見ると、ちょっと似てる。
「兄貴、夕方まで来ないんだろ? いいよね?」って、一緒に居る気満々。
「う……うん」
「今日は何するの?」
「ルセット先生が来られるまで、のんびりしようと思ってた……」
「ふーん……」
ジャックさんは部屋の中を珍しそうに見回しながら、ゆっくり歩き始めました。

「サラちゃんってさ、休みの日とかは何してるの?」
「んー……。家でゆっくりしてたり……、気が向いたらお散歩に出たり……」
「明日は? 明日、どこかに行こうよ!」
「えっ? えーっと……」
「うそだよん! 冗談! やっぱ、兄貴とじゃなきゃ行かないよね?」
「……うん」

そのあと、ジャックさんは、これと言って話すことも無くなったみたいで、
私が作業台に伏せてお昼寝しようとしている隣りに来て、同じようにお昼寝し始めました。
私も、昨日までの精神的な疲れが どっと押し寄せて来て、いつの間にか熟睡していました。

「おーい! 起きろーっ! 起ーきーろーっ!」ってルセット先生の声がして、起きたら、ジャックさんは まだ隣りにいました。
「君たちは、神聖な作業台の上で何をしている?!」ってルセット先生が少し冗談めかして言うから、
「ひーるーねー」って答えたら、ジャックさんも同時に同じこと言っていました。何か面白かった。

ジャックさんは帰り支度をしながら、ルセット先生に、「サラちゃん、兄貴とじゃないとデートしないってさ」って報告してた。

今日は着装の練習をしました。
だんだん慣れてきて、前ほど怖くない。

夜、ルセット先生からメッセージが届きました。
<サラ。デートしよう>
<え? デート?>
<明日、10時に、植物館の鳥居の前に>
<うん! 明日、10時に、植物館の鳥居の前に>
<おやすみ>
<おやすみなさい>

あれ? 長距離でも やり取りできるようになってる……。