サラの日記269(銀菓神社での年越しと初詣が始まります。)

銀菓神暦2015年12月31日

銀菓神社での年越しと初詣が始まります。
私にとって、これが銀菓神使として初めての公式な仕事。

ルセット先生が留守神の仕事で銀菓神社にいらっしゃった時に、正体の分からない何かに拝殿に閉じ込められるということがあったので、こっそり西瀬忍(にしせしのべ)を忍ばせて来ました。
こっそりなのは、カリンさんがまだルセット先生へのアウトサイド・パートナーの返事をしていらっしゃらないようだからです。
年越しと初詣という、1年の締めくくりと1年の始まりという大切なお勤めの時に、ルセット先生に要らない心配を掛けたくないからです。
西瀬忍のことをルセット先生に話せば、おのずとカリンさんのことへと繋がってしまう。
だから、こっそりなのです。

お昼を過ぎた頃から、参拝客が少しずつ増えてきました。
ジャックさんが、ゾエさんと一緒に銀菓神社にお参りに行くと言っていました。
いつ来るのか、どんな感じで来るのか、なんだか楽しみです。
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サラの日記268(今日の練習は、私たちのほかに来ていた5名の銀菓神使の方たちと一緒に、集団結界を張ることを中心に行われました。)

銀菓神暦2015年12月30日

ウィルさんがジャックさんのプラクミーヌ行き(ジャックさんは お忍びデートと言って欲しいそうですが……)に付いて行かれたので、私たちの部屋にはマリーさんが来てくださっていました。

朝食のあと、ルセット先生がマリーさんに言われました。
「僕たち 今日は遅くなるから、マリーは ゆっくりしているといいよ」

そう、今日は銀菓神社で年越しの準備のお手伝いです。
ほとんどが明日の本番に向けての練習でしたが……。

私たちの担当は銀菓神さまが祀られている拝殿で、
主な仕事は銀菓神さまの警護です。

銀菓神社での年越しと初詣の仕事は、留守神の仕事の時もそうだったように、
どの銀菓神使でもできるわけではなくて、銀菓神さまの命を受けた者だけができる仕事ということになっています。
留守神の時はルセット先生だけが行ってしまわれたので、寂しかったり不安だったりしましたが、
今回は私も一緒に来ることができたので、ちょっと嬉しかったりしています。
どちらかに何かがあった時に、ちゃんと目の前で見える場所に居られるっていうのは心強いです。

留守神の時には、参拝客が少ないことを想定しての準備、つまり、結界を張ったりしなければならないようなことは起きないだろうということを前提とした準備しかしないのだそうですが、
年越しと初詣では、混み合っている参拝客に交ざって、銀菓神さまや銀菓神使に損害をもたらすような何者かがやって来ることも想定しての準備が行われるのだそうです。

今日の練習は、私たちのほかに来ていた5名の銀菓神使の方たちと一緒に、集団結界を張ることを中心に行われました。
集団結界は1人で張る結界よりも大きな力を生み出すことができるのですが、その分 1人1人のエネルギーの消耗も激しいため、練習は今日1日だけなのだそうです。

ルセット先生が言われてました。
「練習が1日だけなのはありがたいけど、本番までに1日休みがあると もっと ありがたいんだけどな……」
確かに。
今日の練習で消耗したエネルギーが戻り切らないうちに、本番の明日がやって来るのは きつい。
初日に何かが起こることだけは勘弁して欲しい。

サラの日記267(俺がプラクミーヌに通う)

銀菓神暦2015年12月29日

お昼前、部屋をノックしたのはジャックさんでした。
「あ、サラちゃん。兄貴居る?」
「うん。どうぞ」

ルセット先生が奥のソファに座るよう促すと、ジャックさんは座りながら話し始めました。
「昨日さ、お互いよく知らないのに、パートナーになれるもなれないも無いよねって話になったんだ。取り敢えず日程の許す範囲で、できるだけ たくさん会ってみようってことになったんだ。俺さ、明日からゾエちゃんのところに通うよ。それでなくても俺の周りは花綵(はなづな)アグルムの人間だらけなのに、ゾエちゃんばかりが花綵アグルムに来なきゃならないのは公平じゃないだろ? 俺がプラクミーヌに通う」
「王への報告はどうする?」
ルセット先生がジャックさんにたずねると、さっきまで真剣な表情だったジャックさんの頬がゆるみました。
「お忍びで女の子に会いに行くんだから、国も父さんも関係ないよ。あ、それとさ、ゾエちゃん、こんなこと言ってたよ。『私はプラクミーヌの王女として育ってきたから、サラさんみたいにはなれない。ミシェル殿下の望むような人にはなれない。サラさんが、今のままのサラさんでいられるような殿下でいてくださることを希望しています』ってさ」
「……そうか」
「ま、俺はゾエちゃん嫌いじゃないよ。かわいいしさ。話してると ちょっと堅過ぎるかなってところもあるけどさ、根は面白い子だよ。でなきゃ、わざわざ花綵アグルムのサラちゃん家(ち)の店にミカンの加工を発注しようなんてこと思い付かないだろ? て言うかさ、ちょっと好きだったんだ。サラちゃん家の近くでゾエちゃんを初めて見てさ、なんかいいなーって思って、ゾエちゃんに会いたくてサラちゃん家の手伝いに行ってた。そん時は まさかプラクミーヌの王女だなんて、これっぽっちも思ってなかったよ。それからさ、俺にセカンド・パートナーがいるってことは話しておいたよ。嫌われっちまうかと思ったけどさ、俺、タツキちゃんの居ない人生なんてどうよって感じなんだよ。ゾエちゃんは、そのことも お互いをよく知らないままじゃ判断できないって言ってくれたんだ。いい子だよ」
ルセット先生も、そんなジャックさんにつられて頬をゆるませていました。
「……そうだな」

「それから……」
ジャックさんの表情が再び真剣になりました。
「俺、ゾエちゃんに何度も助けてもらってるよ。昨日ゾエちゃんに会って分かったんだ。ゾエちゃんの波動は あの時と同じ波動だ。どこの誰とも分からない俺を、ゾエちゃんは何度も助けてくれた。そのゾエちゃんがどういう子なのか よく知りたいし、今度は俺が、ゾエちゃんのために何かをしたい」
「分かった。……お忍びってことなら、付いて行けるのはウィルだけだな」

サラの日記266(「まあまあ、うちは すっかり お忍び様御用達になっちゃって」)

銀菓神暦2015年12月28日

ルセット先生が帰って来られたのは、昨夜遅くになってからでした。

「ゾエは銀菓神使ルヴィーブルとしてジャックのパートナーになることを承諾してくれたよ。ただし、これはゾエが私的にすることであって、今すぐプラクミーヌと花綵(はなづな)アグルムの国交改善に繋がるわけじゃない」

ゾエさんはジャックさんと話がしたいと言われているらしくて、早速今日、私の実家の工房で待ち合わせることになりました。
さすがに王子やら王女やら その付き人やらが外から丸見えの店内で話をするわけにはいかないので、工房の準備室に集まったのですが、
父は全く気にしていない様子で作業をしていて、
母は、
「まあまあ、うちは すっかり お忍び様御用達になっちゃって」
って、苦笑いしながらお茶を運んでくれていました。

ゾエさんが集まった人たちを見回しながら、
「ルセット先生はどなた?」
と たずねられました。
――あ、ゾエさん、着装していないルセット先生を見るの、初めてなんだ……――
ルセット先生は
「ここだよ」
と、ウィルさんの後ろから出て来られました。
ゾエさんは一瞬はっとした表情をされましたが、続けて聞かれました。
「エルブはどなた?」
ルセット先生の隣りに居たジャックさんが、黙って ゆっくり手を挙げました。

ルセット先生が話し始められました。
「僕らが花綵(はなづな)アグルムの人間だっていうのは昨日話した通り。ゾエに着装を解除した姿を見せたことがなかったのは、今ゾエが見ている通りのことだったから」
すると、ゾエさんは落ち着いたままの様子で話されました。
「なんとなく分かっていました。銀菓神使の養成教育を受け始めて、人の波動を感じ取れるようになってから。ルセット先生。貴方が……ミシェル殿下だということ。エルブ、……ジャックさんのことも」

そのあと、ゾエさんはジャックさんと2人だけで話しをすることを希望され、
私たちは工房をあとにしました。

サラの日記265(ゾエさんの仮称号試験の合格発表日です。)

銀菓神暦2015年12月27日

ゾエさんの仮称号試験の合格発表日です。
ルセット先生は朝一番で銀菓神局へと向かわれました。

<ゾエは合格だよ>
ルセット先生からメッセージが届きました。
<うん>
心の中は、もっと色々な思いであふれていたけれど、《うん》としか表現のしようがありませんでした。
ルセット先生の波動からは、そのことを悟ってくださったような気配を感じました。
<これからゾエに話をしてくる。サラは、何かあったらすぐに出掛けられるように準備を。ジャックにも伝えてくれ>
<はい>
<それから……>
<……何?>
<うまくいくよ。心配ない。ゾエは身分の割に斬新な人だ。大抵のことは驚かずに受け止めてくれる。ミカン畑だって、僕たち以上に丁寧に守ってくれている>
<うん>

そんなことがあってから6時間以上が過ぎましたが、ルセット先生からはまだ連絡がありません。
ウィルさんと、随分お腹が大きくなったマリーさんも、
ずっと私とジャックさんのそばでルセット先生からの連絡を待ってくださっています。

マリーさんのお腹は時々動くようになりました。
お腹の赤ちゃんが生まれて来る頃には、
ジャックさんとゾエさんが、国を越えて、銀菓神使としてのパートナーになっていてくれることを願っています。

サラの日記264(久しぶりに実家の工房で ゆっくり作業しました。)

銀菓神暦2015年12月26日

久しぶりに実家の工房で ゆっくり作業しました。
今日担当したのはミカンのジャム。
オレンジでマーマレードを炊いている時よりも、ほんわかした香りが漂っています。
数日前に乾燥室に入れた陳皮も、いい感じに乾燥してきています。

プラクミーヌの領地になってしまったミカン畑の管理はゾエさんに任せっきりになってしまっていますが、
工房に運ばれてくるミカンを見ると、ゾエさんがうまく育ててくださっているのが分かります。
花綵(はなづな)アグルムの領地だった頃と変わらない、
いえ、ひょっとすると それより丁寧に育てられたと見受けられるものが運ばれてきます。
プラクミーヌの人たちは、花綵(はなづな)アグルムの人たちと共通する技術と感性を持っている。
2つの国は、やり方さえ間違えなければ、きっと良い関係を築いていける。

ゾエさんの仮称号試験の合否発表は、いよいよ明日になりました。
アロゼの着装を解除した私が、ミカンの加工を発注している店の娘だと知ったら、
さらに その娘が花綵(はなづな)アグルムの王太子の婚約者だと知ったら、
それでもゾエさんは今までと変わらないお付き合いを続けてくださるでしょうか。
私は、変わりたくない。

サラの日記263(そうそう、私の中では ちょっとした事件だったことがありました。)

銀菓神暦2015年12月25日

4次元時空間へのクリスマス菓子製造支援が終わりました。
次の行事は銀菓神社の年越しと初詣のお手伝い。
あ、その前にゾエさんの仮称号試験の合格発表があるんだ……。
で、そうこうしていたら後期の期末試験がやって来る。
ミカンの加工も終わってないし……。

そうそう、私の中では ちょっとした事件だったことがありました。
私が応援していた、4次元時空間のお菓子屋さんの彼。
彼のことをメランジェ先生がご一緒の時に話していたら、
彼はメランジェ先生の奥様のお姉さんのお孫さんだということが分かったんです。
私のことに気付いてくれたのは、
気付いても特に驚いたりせずに受け入れようとしてくれていたのは、
おばあちゃんから そんな話を聞いたことがあったから?

縁って不思議。
自分の知らない所で、異次元時空間同士なのに、いつの間にか繋がっている。

サラの日記262(「サンタクロースのソリが通ってった跡じゃないかな……」)

銀菓神暦2015年12月24日

今日はもう、ミカンのことは学部生の人たちに任せて、
4次元時空間のお菓子屋さんの閉店時間までは家に帰れないつもりで支援に行くしかないでしょう……ってことで、
ずっと4次元時空間に居ました。

疲れたけど、なんとか乗り切りました。
4次元時空間のお菓子屋さんたちも、私たちも。

新米の彼は、閉店後の片付けを済ませると、控室のソファの隅っこに丸まって、そのまま眠り始めました。
それに気付いた先輩が、彼のそばにストーブを持って来て、火の番をしてくれています。

明日の もうひと波が過ぎれば彼は気付くはず。
普段の作業に ゆとりを感じる自分が居ることに。
そして来年の今頃、今度は彼が誰かのそばでストーブの番をしているかもしれない。

閉店後、ルセット先生が
「ほら、あれ見て!」
と空を指差されました。
星の輝きに交じって、5次元時空間の力が施された形跡のある輝きが、北の空から あちこちに向かって線を描いています。
「サンタクロースのソリが通ってった跡じゃないかな……」
ルセット先生は空を見上げたまま そう言われました。
「うん。そうね。ありがとうミシェル。素敵なクリスマス・プレゼント」
「会いに行こうね、サンタクロースに。いつか僕たちに その日が来たら」
ルセット先生のそんな言葉に、私は空を見上げたまま うなずきました。

サラの日記261(4次元時空間でクリスマス・ケーキが1番売れるのは明日。)

銀菓神暦2015年12月23日

4次元時空間でクリスマス・ケーキが1番売れるのは明日。
ミカンの作業は一時中断で、
仮称号以上の銀菓神使たちは4次元時空間へのクリスマス菓子製造支援に出掛けました。

クリスマス菓子製造を支援する銀菓神使が、鳥居を移動用ツールにしているなんて、なんだか変な感じ。
だけど、菓子というものによって私たちは繋がっている。
お互いが繋がることを求めさえすれば、生まれた時空間の違いや加護を受けている神の違いなんて関係ない。
5次元時空間に生まれ、銀菓神さまに仕えている私たちは、
菓子というものを通じて、
4次元時空間の、自分たちとは全く違った文化を持つ人々と繋がっている。

私が応援してあげたくなったあの男の子は……、
2、3日前からちゃんと休めていないみたい。
初めて体験する この時期独特の疲労感と、一生懸命に闘ってる。
仕方ないよね、この仕事を選ぶのなら。お互いに……。
うまく乗り切って欲しい。
応援の気持ちを込めて、癒しのアロゼを掛ける。

仮称号の技術で、銀菓神使の力を4次元時空間に100%届けることは難しい。
癒しのアロゼを掛けても、どれだけが彼に届くのか分からない。
でも、応援している誰かが居るっていう気配だけでも届いて欲しい。

彼が、ステンレスの作業台に映った自分の姿を見て、にっこり笑う練習を数回しているのが見えました。

そうね。
まず行動。心は後から付いてくる。

彼は、ステンレスの作業台に映った自分に向かって何か言ってる。
「ありがとう」
そう言ってる。

……えっ?

<彼、ぼんやり分かってるよ。サラのこと>
ルセット先生が ぽつりと漏らされました。

アロゼの休憩室26「YouTube 始めました」


さて、学生の皆さんは そろそろ冬休みですかね。
アロゼの休憩室もこの26の回が今年最後の回となりました。

話は変わって表題の件。
もう5、6年前のことなんですけどね、
自作の曲を、
フリーDTMソフトの Music Studio Producer というのを使って、
取り敢えずベタ打ちだけしておいたんです。
いつかそのうち仕上げ用と思って。
で、そのまま5、6年が経ってしまいました。
もう、こうなってしまったら、「いつかそのうち」の日はきっとやって来ないでしょう。
ということで、ベタ打ちのまま YouTube にUP してみました。
取り敢えず2曲。
1つは『熱い氷河』、もう1つは『gray zone』です。
たいしたものではありませんが、どんなのを作っているのかな・・・って思ってくださった方は、
ぜひ YouTube の方を覗いてみてください。
     ↓


楽しいこと工房(タカハシ)の YouTubeチャンネルはここをクリック!

今後のYouTube UPの予定は、
・『gray zone』の横笛Version
・『熱い氷河』の歌ありVersion
・もしも私がSF&ヒーローものを歌ったら・・・の企画を数曲(タイトル未公開)
となっております。
どうぞお楽しみに(*^_^*)

あ、そうそう。
前回のアロゼの休憩室に書いたリニアPCMレコーダーのその後ですが、
お財布と相談して、リニアPCMの機能付きのICレコーダーを購入しました。
取り敢えず充電してみただけで、まだ使っていません。
楽しみです( *´艸`)

新曲upの情報は、

ホームページ
フェイスブック
ツイッター
グーグルプラス
などでもお知らせいたしますが、もしよかったら YouTube のチャンネル登録の方もよろしくお願いします。



少し早いですが、
本年中の温かい応援、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。

(『サラの日記』は年末年始も無休で連載予定です。)

サラの日記260(お昼休みの時間を利用して、ルセット先生と一緒にサンタクロース捜しに行ってきました。)

銀菓神暦2015年12月22日

お昼休みの時間を利用して、ルセット先生と一緒にサンタクロース捜しに行ってきました。

「ほら! あの辺りだよ」
とルセット先生が指差された方に意識を集中させると、
確かに4次元時空間と5次元時空間との波動が頻繁に混ざり合っているのが感じ取られました。

そちらの方へ向かって10分ほど歩いていたのですが、なんだか前へ進めていないような、不思議な感覚でした。

「ねぇ、サラ?」
ルセット先生が顔をしかめながら言われました。
「僕たち、結界に跳ね返されてるよね……」
「うん。やっぱりミシェルも思う?」

そのまま立ち止まっていたら、目的の地点の方から年配の男性が近付いて来られました。
「おや? 銀菓神使かい?」

そう! その人が、私たちの捜していた、モンテ研究室の大先輩の方でした。
元銀菓神使グラセ。
モンテ研究室に居ながら一芸型のグラセになったこの方は、同期の間では有名な変わり種だったらしい。
書類上はルセット研究室の所属なのに、実質はメランジェ研究室でやってる私みたいな感じ?
で、この方の跡を継いだのが今のグラセさん。
自分の跡を継ぐには真っ直ぐ過ぎると思っていらっしゃる様子でした。彼には遊びが足りないんだとか……。
ルセット先生が今のグラセさんと同じ研究室の同期だったことを知ると、随分 話が盛り上がっていました。

サンタクロースの話は聞かせてもらえたけど、会わせてはもらえませんでした。
ここは現役の銀菓神使が来る所じゃないから、銀菓神使としての務めを果たして、現役を退く時が来たら またおいでと言われました。

サラの日記259(サンタクロースについての興味深い情報が手に入りました。)

銀菓神暦2015年12月21日

4次元時空間には居るらしい、サンタクロースについての興味深い情報が手に入りました。
モンテ研究室の方たちからの情報です。
モンテ研究室出身で、今は銀菓神使を引退されている大先輩が、サンタクロース支援活動をされているらしいのです。
その大先輩という人をたどれば、これは もしかするとサンタクロースに会えるかもしれません。

その大先輩のことをモンテ先生にたずねてみましたが、
「うーん。私も随分長い間連絡を取っていないのでねぇ……」
と、最近の様子はご存じないようでした。

夕食の時、ルセット先生が
「モンテ先生がさ、サラが面白いことをたずねてきたって言われた」
と切り出されました。
「うん。モンテ研究室の方たちが、サンタクロース支援活動をされてるらしい大先輩の話をされてたの。モンテ先生なら何かご存じかと思って聞いてみたんだけど、分かんなかった」
すると、ルセット先生は、
「実は、もしかしたらって所を見付けたんだ」
と、にっこりされました。
「どこどこ?」
「4次元時空間の北の方だよ。ここ1週間ぐらいの間に、4次元時空間の波動と5次元時空間の波動が頻繁に混ざり合ってる場所を見付けたんだ。僕らのクリスマス菓子支援よりも明らかに高い頻度で混ざり合ってるんだ。で、今日、モンテ先生の話を聞いて、あれはモンテ研究室の大先輩って人が4次元時空間で5次元時空間の波動を使ってる場所なんじゃないかと思ったんだ。明日、確かめに行ってみようか」
「うん!」

サラの日記258(今日はモンテ研究室の方たちと一緒に作業しました。)

銀菓神暦2015年12月20日

今日から冬休み……のはずだけど、いつもと変わらない1日を過ごしました。
昨日刻んだミカンの皮を、乾燥室へ運んだり大きな鍋で炊いたり……。
休憩時間の飲み物は、ミカンの果汁で作ったホット・ミカン。
外からも内からもミカンだらけ。
口にしたミカンはホット・ミカンだけなのに、なんだか1日中ミカンを食べてるような錯覚に陥って(おちいって)しまいます。

あ、今日はモンテ研究室の方たちと一緒に作業しました。
モンテ研究室の方たちは私たちよりも1学年上なので、あと3か月もすれば修了です。
もう銀菓神使の称号取得を希望しているほとんどの方が銀菓神使の称号を取得されていて、先生方と変わらない波動を感じます。

モンテ研究室の方たちって、メランジェ研究室とは少し様子が違います。
メランジェ研究室の私たちが一芸型なのに対し、モンテ研究室の方たちは全体を大きく捉えるのが得意みたい。
でも、ルセット研究室の人たちみたいな何でも屋って感じでもなくて……。
ミカンの作業の時も、ささっと役割分担の支持を出してくださって、
それがちゃんと適材適所だったから、さすがだなぁって見とれていました。

サラの日記257(冬休み前の最後の講義が終わりました。)

銀菓神暦2015年12月19日

冬休み前の最後の講義が終わりました。
でも、4次元時空間へのクリスマス菓子支援に行ったり、大量のミカンの加工をしたりで、
しばらくの間は名ばかりの冬休みになりそうです。

昨日はミカンの皮をひらすら むいていましたが、
今日はミカンの皮をひたすら刻みました。

いつもなら漂っているバターの香ばしい匂いや、砂糖やクリームの甘い匂いは一切感じなくて、
ただただミカンの甘酸っぱい香りだけが構内を覆い尽くしています。

隣りでミカンの皮を刻んでいたタツキちゃんが、
「年が明けたら受けるの」
と話し掛けてきました。
「仮称号?」
「うん! 仮称号取って、ジャックさんと一緒に色んな所に行きたい」
「じゃあ、タツキちゃんの冬休みは特訓ね」
「サラちゃん、付き合ってくれる?」
「もちろん。じゃあ、このミカンたちを早く終わらせなくちゃ」
「ありがと!」
タツキちゃんの目は きらきら輝いています。

サラの日記256(「ミカンが終わるまで着装無しでいいですよね?」)

銀菓神暦2015年12月18日

ジャックさんのおかげで『銀菓処方実習』の提出課題はなんとかできあがりました。
さっさと提出して目の前のことから片付けていかないと、仕事が次々にやって来ます。
昨日の午後、花綵(はなづな)アグルムから 花綵(はなづな)キャンパスへの 大量のミカンの寄贈があり、
今日はその加工で大忙しです。

去年は裏作で、加工の依頼を受ける側としては楽だったのだけど、今年はどうやら表作のようです。
学部生の人たちの手を借りても足りないぐらい。

さらに、実家の工房にもゾエさんからミカンの加工の依頼があったらしくて、
これからしばらくの間、ひたすらミカンと向き合う日々が続きそうです。

モンテ先生が製菓室の様子を覗きに来られました。
ルセット先生が山積みになったミカンの皮をむきながらモンテ先生にたずねます。
「ミカンが終わるまで着装無しでいいですよね?」
モンテ先生は大きくうなずかれました。

「着装解除でいいですよー!」
ルセット先生が製菓室の研究生たちに向かって そう言われると、
あちらこちらから ほっとしたような ため息が聞こえました。

サラの日記255(先に処方箋ができあがったジャックさんが、 面白がって失敗作のつまみ食いに来るんだけど、私は全然面白くない。)

銀菓神暦2015年12月17日

昨日から『銀菓処方実習』の提出課題、処方箋作りに掛かりっきりです。
処方箋を作るだけでは だめで、
実際に処方箋の通りに作ってみて、誰にでも お菓子が再現できるものでなければならないので、
アロゼの力は使えないし、
お菓子の失敗作がたくさんできあがってしまっています。
先に処方箋ができあがったジャックさんが、
面白がって失敗作のつまみ食いに来るんだけど、私は全然面白くない。

「これ おいしいじゃん。これだけで出しちゃえば?」
ジャックさんはバターケーキの中に仕込んでいた木の実だけをつまんで食べながら、いい加減なアドバイスをしてくれます。
「木の実だけで銀菓処方にならないでしょ?」
「銀菓処方を施した(ほどこした)衣(ころも)で包めばいいじゃん」
ジャックさんは そう言いながら、自分の手書きの処方帳の、あるページを開いて見せてくれました。
ハーブを使った衣のアイデアが たくさん書かれていました。

「でも、これ、ルセット先生にばれない? ジャックさんのだって」
「いいんじゃない? 自分の専門外を取り入れる手段を手に入れたってことで」
「そうかな……。ん、じゃあ貸して」
「はい、どうぞ」

サラの日記254(ルセット先生は、こういうことには公私の区別をはっきりつける人。 助言も忠告も なんにも無い。)

銀菓神暦2015年12月16日

お昼休みのルセット先生の研究室。
色々忙しくて疲れたし、寒いし、
机をはさんでルセット先生と向かい合わせに座ったまま、なんとなく ぼーっとしていました。

ルセット先生が何かを言いたそうに目を合わせてこられましたが、すぐにその目を離されたので、私もそのまま黙っていました。

しばらくすると、ルセット先生が意識体で話し掛けてこられました。
<カリンに……アウトサイド・パートナーになって欲しいと伝えた>
<……知ってる。聞こえちゃった。私の意識の半分はミシェルだから……>
<植物館の……和みのアロゼをありがとう>
<……うん>

ルセット先生の手に触れてみたら、いつもより冷たくなっていました。
温めてあげたかったけど、私の手も冷たかった。

ドアが開いて、マヤちゃんが入ってきました。
ルセット先生と私の様子を見て、気まずそうになって固まっています。

私は立ち上がって、
「大丈夫よ。どうぞ」
と、マヤちゃんを部屋に招き入れました。
マヤちゃんは『銀菓処方実習』で作った処方箋をルセット先生に提出に来たのでした。

あ! 処方箋の提出、今週中だった!

ルセット先生は、こういうことには公私の区別をはっきりつける人。
助言も忠告も なんにも無い。
ちょっと冷た過ぎるんじゃない? って思うこともあるけど、
それがルセット先生。

サラの日記253(『銀菓神装の理論と実習』の授業の前半部分が終わり、大学院1年生の全員が、銀菓神使スーツの着装をできるようになりました。)

銀菓神暦2015年12月15日

『銀菓神装の理論と実習』の授業の前半部分が終わり、大学院1年生の全員が銀菓神使スーツの着装をできるようになりました。
それと同時に、製菓室への入室時の基準服は、製菓コートから銀菓神使スーツへと変わりました。
先に仮称号試験を目指して練習を積んでいた人にとっては、もうすっかり当たり前のことになっているようだけど、
カリキュラム通りの標準進度でやっている人には厳しい試練みたい。
道具や材料を素手で扱えないことの難しさに悪戦苦闘してる。

それから、私はもう慣れちゃったけど、着装できるようになってすぐの頃って、着装するだけで体力の消耗が激しかった。
度々ルセット先生が銀菓宝果の飲み物を飲ませてくれたっけ……。

とか言ってる私も、銀菓神使スーツ着装での製菓はあんまり得意じゃない。
やっぱり、道具や材料の感触を素手で感じながら作る方が やりやすい。
それに、共同作業の時のアイコンタクトも取りにくい。
道具や材料の感触を素手で感じられることの喜びや、仲間たちと顔を合わせてやり取りすることの大切さを感じる。
この装備でささっと作業できちゃう先輩たちや先生方って一体どうなってるんだろう……なんて思ってしまう。

でも、いつどんな環境に派遣されても対応できるように、銀菓神使スーツ着装での製菓は必ずできるようにならなければならないことになってる。

今頃になって気が付いたこと。
銀菓神使が使う製菓技法って、ほとんど古典製菓なんだってこと。
作業工程を全て機械に入力して……なんていう、学部生の頃に一生懸命に勉強してきた技術は、
一般のお菓子屋さんになるには便利で使える技術なんだけど、
銀菓神使にとっては机上の空論同然なんだっていうこと。

んーっ!
銀菓神使スーツ、わずらわしーい!
脱いで作りたーい!

だけど、
だから、
パートナーやセカンド・パートナーとの意識体での交信能力は、
銀菓神使にとっては必須の力。
着装を解除できない状況や環境下に派遣された時、
これが無いのは あまりにも寂し過ぎる。

サラの日記252(昼間、ルセット先生の研究室で見たのと同じ、飴細工の虹色の鳥居。)

銀菓神暦2015年12月14日

放課後、
タツキちゃんの氷、さすがにもう解けちゃってるだろうな……と思いながら植物館に行ってみたら、
氷だったはずのオーナメントが鏡になっていました。
ミロワール……か。

それと、てっぺんの桔梗が氷でコーティングされていて、その隣りに飴細工の小さな鳥居が……。
昼間、ルセット先生の研究室で見たのと同じ、飴細工の虹色の鳥居。
カリンさんが その気配を消したのに応えるかのように、虹色の鳥居からはルセット先生の気配が消されています。
カリンさんもルセット先生も、そんなに自分たちを辛くしなくてもいいのに。

クリスマス・ツリーのてっぺんの桔梗と鳥居に、和み(なごみ)のアロゼを掛けました。

和みのアロゼは、綿雪(わたゆき)のような光を放ちながら、桔梗と鳥居の上に降り積もりました。
桔梗と鳥居とを1つに繋ぐかのように。
これが、カリンさんとルセット先生への、私の意思表示。
これが、カリンさんとルセット先生への、私の願い。

モンテ先生がいらっしゃいました。
「植物館に面白いものができているって聞いたんですが、これですかね?」
「あ、はい。でも、なんだか おかしなことになってしまってるんです。これとか……」
誰かがくくり付けた お願いごとの紙を指差すと、モンテ先生は大笑いされました。それから、
「これも、クリスマス・ツリーじゃないですね」
と、てっぺんの桔梗と鳥居指差されました。

モンテ先生は しばらくだまってクリスマス・ツリーを眺めていらっしゃいましたが、
「この綿雪は好きですよ。いい仕上げですね」
と微笑んでくださいました。

サラの日記251(サンタクロースが乗るというソリが走り易いようにと、ほうきで掃除したみたいな雲が流れています。)

銀菓神暦2015年12月13日

研究室はお休み。
今日はゾエさんの仮称号試験です。
ゾエさんの担当教官であるルセット先生が試験日にできることは特にないので、いつもと変わらない、いつもの休日。

「行く?」
実家での仕事が済んだあと、ルセット先生が工房の移動用鳥居の下に4次元時空間を映し出しながら言われました。
「えー。お休みの日にも支援に行くの?」
「違うよ。サンタクロースだよ」
「え? うん! 行く!」

その様子を見ていたジャックさんが、
「いってらっしゃーい。俺、もうちょっと仕込んでから終わりにするよ」
と手を振ってくれました。

4次元時空間の北の空。
サンタクロースが乗るというソリが走り易いようにと、ほうきで掃除したみたいな雲が流れています。

「寒いね」
ルセット先生が自分の羽織っていたマントを取って、私に掛けてくださいました。
そんなルセット先生の方が寒そうに見えたので、私が羽織っていたマントを取って、ルセット先生に掛けました。
結局マントの交換をしただけになっちゃったけど、心は2倍温かくなった。
ルセット先生もそうだといいな。

サンタクロースらしき人は見付かりませんでした。
子どもたちへのプレゼントの準備が大詰めで、どこかにこもって作業しているのかもしれません。
確実なのは、やっぱり当日なのかな……。

アロゼの休憩室25「安心してください。吹いてますよ。」

カリンさんとサラちゃんの横笛、「西瀬忍(にしせしのべ)」のモデルになった、
七曜工房さんのオリジナル横笛を購入してから、まもなく1か月になります。

楽しいこと工房のホームページには、
送られてきた時の紙筒を利用した横笛ケース作りを掲載しておりますが、
そろそろ、「で、音はどうなんだ」って方がいらっしゃるかもしれません。

準備ができ次第の動画upを考えているのですが、
体調&機材の不調により、思うように進んでいません。

体調の方は、風邪からの気管支の不調。
これは子供の頃からです。1度風邪をひくと咳だけが1、2か月も続いてしまって……。
病院で漢方薬をもらったりもするんですが、
薬が効いたから治ったのか、治る時期が来たから治ったのか……って感じです。毎回。
咳き込まずに1曲を吹き切ることができません。
あ、そうだ。
先日、叶美香さんが咳止め薬で入院の報道がありましたが、
私も数年前に、入院するほどではありませんでしたが、咳止め薬のアレルギー反応で怖い思いをしました。
怖くてもう飲めません。

機材の方は、使用を予定していたビデオカメラの不調です。
録画はできるけど録音ができない。
この機会にリニアPCMレコーダーとか考えようかな……。

でも、安心してください。吹いてますよ。ほぼ毎日。
なので、準備が整ったらupします。

気長~    に待っててください。

サラの日記250(私たちは願っている。)

銀菓神暦2015年12月12日

ゾエさんの仮称号試験が明日になりました。
花綵(はなづな)キャンパスでの講義の無い今日のルセット先生は、
朝から天戸(あまと)キャンパスの方に出られています。

ゾエさんは、
ルセット先生が花綵アグルムの人間だということを、
パートナー候補である銀菓神使エルブも花綵アグルムの人間だということを知らない。
ただ、ゾエさんの潜在能力を知った銀菓神局からの命ということだけで銀菓神使養成教育を受けている。

ゾエさんが仮称号を取得したら近いうちに話さなければならない。
それでもゾエさんは銀菓神使ルヴィーブルになることをやめないでいてくれるだろうか……。
プラクミーヌ出身の銀菓神使たちとの争いにならないでいられるだろうか……。

私たちは願っている。
国境を越えて、銀菓神使として、1つの仲間になれることを。

ルセット先生は、
銀菓神使を養成する職にある者として、また、花綵アグルムの第1王子として、
ゾエさんとジャックさんという、
プラクミーヌと花綵アグルムの国境を越えるための新芽を育てている。

私たちは、
ゾエさんとジャックさんが、
その最初の1歩を踏み出してくれることを願っている。

サラの日記249(昨日作ったクリスマス・ツリーの装飾がにぎやかになっています。)

銀菓神暦2015年12月11日

昨日作ったクリスマス・ツリーの装飾がにぎやかになっています。
植物館に立ち寄った学生たちが、少しずつ手を加えているようです。

『研究生になれますように』とか、『卒業できますように』
なんて書いた紙をくくり付けてる人もいるけど、
クリスマス・ツリーってそういうんじゃないから……。

タツキちゃんが作った氷のオーナメントは、1日経っても全く解けていません。
それどころか、昨日よりも密度の高い結晶になっています。
さすが銀菓神使ミロワールの候補者。
そして、銀菓神使グラセのパートナー。

てっぺんに飾った星形の氷のオーナメントの横に、青紫の花が添えられているのを見付けました。
時季外れの桔梗。
――カリンさん?――
カリンさんの気配をたどろうと意識を集中させてみたけれど、何もつかめませんでした。

そう言えば、ルセット先生への返事はどうなったんだろう……。

ここへ来たことの気配は消しているのに、
ここに花を残してったってことは、
まだ迷ってるんだよね……。

なんとかしてあげたいけれど、
私の立場では手を差し伸べることはできない。

サラの日記248(大きなクリスマス・ツリーは、生き生きとした緑に輝いています。)

銀菓神暦2015年12月10日

植物館に行ってみたら、ジャックさんとタツキちゃんが居ました。
タツキちゃんが枯れた雑草に手をかざしています。

「何してるの?」
駆け寄ってみると、ジャックさんが
「シーっ」
と唇の前に指を立てました。

タツキちゃんが手をかざしている枯草が、少しずつ緑を取り戻しています。
そこへ、ジャックさんも手をかざし始めました。
緑を取り戻した枯草が、ゆっくりと上へ伸びながら、何かを形作るように編み込まれていきます。

しばらくすると、それは自分たちの身長ほどの高さの円錐になりました。

タツキちゃんが枯草に付いていた水滴に手をかざすと、それらは円錐に編み込まれた枯草を飾る、きらきらした、色んな形の氷になりました。

「できた!」
タツキちゃんが嬉しそうに跳びはねます。
ジャックさんは、そんなタツキちゃんを嬉しそうに見詰めています。

「うわぁ。きれい!」
私の口からも、思わずそんな言葉が出ました。

手作りの、大きなクリスマス・ツリー。

だけど、枯れた色が残ったままのツリーじゃ、ちょっと淋しい。

癒しのアロゼを掛けました。

大きなクリスマス・ツリーは、生き生きとした緑に輝いています。

サラの日記247(ルセット先生はプラクミーヌの王女様相手でも、そんな綱渡りみたいなことやっちゃうんだ……。)

銀菓神暦2015年12月9日

ゾエさんは4日後の仮称号試験を受けるそうです。
昨日、メランジェ研究室方式の「月行き」をやったそうです。
ゾエさんはメランジェ研究室の所属じゃないし、花綵(はなづな)キャンパスの所属でもないから、研究室の行事としてではなくて、ルセット先生が付き添っての お忍び講習だったそうです。

「それって学則に触れないの?」
心配になって聞いたら、
「んー、そうだな……。そうなった時の言い訳は いくつか考えてある」
とウインクされました。

そっか……。
ルセット先生はプラクミーヌの王女様相手でも、そんな綱渡りみたいなことやっちゃうんだ……。

月ではグラセさんにも会ってきたそうで、
ルセット先生が留守神の仕事だった間に、私とジャックさんがルセット先生には内緒ででグラセさんに会いに行っていたことが ばれてしまいました。
叱られるかと思ったけど、ルセット先生は、
「サラもジャックも、もう仮称号所持者だからね。自分たちで色々試してみることは いいことだよ」
と笑ってくださいました。

でも……。
ゾエさんやグラセさんとのことは色々話してくれたのに、
カリンさんのことは何も話してくれない。

《そばに居て欲しい》
それが、ルセット先生の、カリンさんへの……。

サラの日記246(想うことのある人生の方がいい)

銀菓神暦2015年12月8日

不思議な夢を見ました。
カリンさんと2人で話している夢です。

私は、自分で自分のことにびっくりするような質問をカリンさんに投げ掛けています。
「カリンさんは私のことを邪魔だと思わない? 居なければいいと思わない? 私が居なければ、ルセット先生のそばに居られたのにって思わない?」
すると、カリンさんは穏やかに微笑んでこう答えられました。
「思わない……こともないかな。でも、ルセット先生がサラさんを選んで、それで幸せそうなら それでいい」
私はカリンさんの微笑みが信じられなくて、畳み掛けるように質問します。
「辛くないの? 遠くで見ていて、……見えてしまって、辛くない?」
カリンさんは微笑んだまま目線をゆっくり落として、
「……想うことのある人生の方がいい」
という言葉を残して、すっと姿を消されました。

目が覚めましたが、起床には少し早い時間でした。
そのまま横になっていると、ひどい雑音の中でしたが、
隣りで眠っているはずのルセット先生がカリンさんと交信しているのが聞こえました。
<先生……。私に結界を>
<もう張れないよ。結界はこういうことには使えない>
<前みたいに……>
<必要ない。……カリン。僕とサラの、アウトサイド・パートナーになって欲しい>
<それは……憐み(あわれみ)ですか?>
<そうじゃない。そばに居て欲しい。……カリンを信頼している>

サラの日記245(実家の店舗も忙しくなってきました。)

銀菓神暦2015年12月7日

大学院での色々も忙しいけれど、
実家の店舗も忙しくなってきました。

私が子どもだった頃はそれほどでもなかったのだけど、最近では5次元時空間でもクリスマス菓子を楽しむ習慣が一般化されてきて、4次元時空間の賑わい(にぎわい)に負けないぐらいの行事になっています。

12月に入ってからは、大学院の始業に間に合う ぎりぎりまで実家で作業をしています。
ジャックさんも手伝いに来てくれているのだけど、
今朝はクッキーの生地に顔を突っ込みそうになって居眠りしていました。
立ったまま、まるでクッキーの生地におじぎしているみたいに。

「顔、突っ込まないでね! 商品にならなくなっちゃうから!」
って、ジャックさんの頭をぐいっと持ち上げながら声を掛けると、
「お、おいしくなるように念を入れてただけだよ」
って言い訳が返ってきました。
「もう! そんなわけないでしょ!」

私たちのそんな様子を見ていたルセット先生が、
「ジャック。お前、遅くまでタツキさんと交信してただろ」
とジャックさんに追い討ちを掛けました。
「あ……、え……、なんで知ってんだよ!」
ジャックさんが顔を真っ赤にして叫びました。
「よし! 目が覚めただろ? さっさと仕事しろ」
ルセット先生はジャックさんに向かってそう言うと、私と目を合わせて したり顔でにっこりされました。
今朝の兄弟対決はルセット先生の作戦勝ち?

工房でのこんなこと、
今までは絶対許さなかったはずの父が、少し笑っていました。

サラの日記244(『安心する』って言ってもらえたのが嬉しかった。)

銀菓神暦2015年12月6日

研究室はお休みなのだけど、
タツキちゃんから、『仮称号試験の勉強をしたいから付き合って』という申し出があり、
今日は1日キャンパスで過ごしました。

タツキちゃん、昨日ジャックさんが『タツキちゃんは仮称号まだだから』と言っていたのが気になって仕方ないみたい。
仮称号以上の資格が無いと、4次元時空間への支援活動には参加できない。

タツキちゃんが目指しているのは銀菓神使ミロワール。
力の使い方がアロゼとは全然違う。
私にはよく分からないことだらけ。
だけどタツキちゃんは言ってくれる。
「サラちゃんに教えてもらうと安心する」
って。

『サラちゃんに教えてもらうとよく分かる』じゃなくて、『安心する』って言ってもらえたのが嬉しかった。
よく分かる教え方ってことに関しては、やっぱり先生方にはかなわない。
だけど、『安心する』って言われたら、言われたこっちも安心する。
そのままで そばに居てもいいんだなって思える。

今までは、折角できた友達とも、あいさつ程度の会話しかできなかった。
気まずくて、それ以上には踏み込めなかった。
でも、タツキちゃんとなら、自然体のままの私で付き合えるような気がする。

ルセット先生の弟がジャックさんで、ジャックさんのセカンド・パートナーがタツキちゃんで、
そういう繋がりの輪があったから、
今、タツキちゃんに対してこんなことを思えている自分が居る。

ルセット先生を好きになってから、
私の繋がりの輪は、どんどん、どんどん、大きくなっていく。
それまでの私に見えていた、内輪の人たちと外の人たちとの間にあった太くて濃い境界線は、
どんどん細く薄くなっていく。

サラの日記243(「うん。喜んで了解!」)

銀菓神暦2015年12月5日

4次元時空間へのクリスマス菓子製作支援の仕事も忙しいけれど、
ゾエさんが銀菓神使の仮称号試験を受ける日も近付いて来たらしくて、
ルセット先生は今までよりも一層忙しそうにされています。
今日は4次元時空間へは一緒に行けないから、ジャックさんと一緒に行くように言われました。

ジャックさんは、
「やった! サラちゃんとデートだ!」
なんて、そこらじゅうに聞こえるような大きな声でおどけています。
「いいの? そんなこと言ってたら、タツキちゃん、焼きもち焼くんじゃない?」
忠告してあげたのに、
「いいの いいの。タツキちゃんは仮称号まだだから」
って、まだ続けてる。
でも、そう言ってるジャックさんの声が急に小さくなって、ある方向を見詰めたまま動かなくなりました。
どうしたんだろうと思って、ジャックさんが見詰めている先に目をやると、
怒って ほっぺを膨らませたタツキちゃんが……。
だから言わんこっちゃない。

タツキちゃんが近付いてきて、
「サラちゃん、お願いね。サラちゃんなら安心なんだけど、4次元時空間でジャックさんが他の子に目移りしないように見張ってて」
だって。
「うん。喜んで了解!」

サラの日記242(私たちの生まれた5次元時空間にはサンタクロースという人は居ない。)

銀菓神暦2015年12月4日

4次元時空間のクリスマス・イヴ(クリスマスの前の晩)には、サンタクロースという人が世界中の子どもたちにプレゼントを配るらしい。
私たちの生まれた5次元時空間にはサンタクロースという人は居ない。

けど……、
ルセット先生に聞かれました。
「クリスマスプレゼントは何がいい? 本当は西瀬忍をクリスマスプレゼントにしようと思っていたんだけど、先に出番が来ちゃったからね……」
「えっ? ありがとう。西瀬忍、クリスマスプレゼントだったんだ……」
西瀬忍がクリスマスプレゼント。この時代に生まれて初めての……。
そう思うと、もうそれだけで十分で、心臓がどきどきしていました。
でも、ルセット先生はもう1度聞いてくださいました。
「うん。で、何がいい?」
じゃあ、そんなに聞いてくれるなら……。
「……サンタクロースさんに会ってみたい。4次元時空間の」
一瞬、ルセット先生の目が点になりました。
予想外のリクエストだったのかな?
でも、
「……ん。じゃあ、4次元時空間の支援の合間に捜しに行こうか。サンタクロース」
って、話に乗ってくださいました。
「うん!」

サラの日記241(だから今は焦らないで)

銀菓神暦2015年12月3日

4次元時空間でのお手伝いが続いています。

色んな職人さんの仕事を見せてもらったけど、
私が応援してあげたくなったのは、
菓子職人として初めてのクリスマスを迎えようとしている男の子。
歳は18、9かな?
まだ作業の段取りが悪くて、先輩たちから厳しいことをたくさん言われてる。
でも、とっても素直。
教えられた通りの素直なお菓子ができあがってる。
だけどやっぱり、先輩たちの目を盗んで、作業の手を抜きたくなってしまうみたい。

だから私は、
――1つずつ丁寧に。1つずつ丁寧に……――
って波動を送ってみる。
彼は、はっと思い直して、教えられた通りの手順で作業を続ける。

――そう、それでいい。ゆっくりでいい。
ゆっくり、確実な作業を積み上げてって欲しい。
先輩たちの手が速いのは、ただ作業に慣れているだけ。
あなたも、先輩たちと同じ回数の作業をこなす頃には、手は必ず速くなってる。
将来、丁寧な作業のできる手を持つことができるか、雑な作業しかできない手を持つことになってしまうのかは、
今をどう積み上げていくのかに掛かってる。
だから今は焦らないで――

なんて、現場経験のまだまだ浅い私が、そんな波動を送ってみたりしている。
ベテランの銀菓神使のように、1度に大勢に波動を送ることはできないけれど、
1人ずつでも、確実に届けたいと思いながら、そんな波動を送っている。

後ろで見てくださっているルセット先生の視線が、柔らかくて温かい。
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